NPO法人に就職する若者が増え、注目されているボランティア。
しかしボランティアは無報酬のため、尻込みする人が多いのが実態です。
そこで現れたのが「ボラバイト」です。
今回は脚光を浴びているボラバイトについてご紹介します。
ボラバイトとは?
アルバイトとボランティアの中間に位置します。
活動する現場は農業やキャンプ場が多いです。
私は障害児のNPOでボラバイトした経験があります。
やり甲斐はありましたが、生活できる収入には程遠かったです。
下図によれば年々、ボランティアを行う人数は増えています。
(ボラバイトを含んだ人数です)

ボラバイトの人数1

ボラバイトの人数2
若者がボラバイトに求めるものは?
若者達はボラバイトに、収入を求めていません。
それは若者の就職や仕事への意見に表れているのです。
図のとおり、若者の非正規雇用、とりわけアルバイト従事者は増えており、非正規雇用の半数がアルバイトです。

若者の就職別統計1
さらに興味深い統計があります。
それは若者が仕事をする目的です。

若者が仕事をする目的
この表から分かるのは、「仕事を通して達成感や生きがいを得るため」と「人の役に立つため」が29.4%で「働くのが当たり前だから」を抜いています。
さらにこの数字は、1位の「収入を得るため」に次ぐ順位です。
この価値観が若者をボラバイト突き動かす原動力なのです。
もう1つは、若者が仕事で重視する点です。

若者が仕事で重視する点
若者が重視するのは、「自分のやりたい事」と「人の役に立つ事」となっています。
仕事に多くの収入を求めない若者のスタイルにボラバイトはピタリと当てはまります。
それでは今の若者は具体的に、仕事に何を求めてボラバイトを行っているのでしょうか?
若者がボラバイトに走る理由
実際にボラバイトを行っている若者100人に聞いた結果、結果は以下の2つでした。
- オアシス
- 人との出会い
どういうことなのか、具体的に見ていきましょう。
ボラバイトはオアシス
ボラバイトで多いのが、農業体験やキャンプ・スポーツインストラクターの補助です。
またペンションでの管理人の補助があります。
これらに従事している若者の声を拾ってみました。
「美味しい空気を吸える毎日が幸せ」
「都会では味わえない解放感。満員電車に揺られないで済む」
「低収入だけど、生きてるって実感がある」
親の本音は「定職に就いてほしい」でしょうが、それを上回る魅力があるようです。
ボラバイトの魅力「人との出会い」
先の「オアシス」を凌駕する勢いで人気があったのが「人との出会い」でした。
出会いを経験した若者達の声を紹介します。
「スキーのインストラクターは生徒やスタッフなど、友達や恋人を作りやすかった」
「ペンションではオーナーファミリーに良くしてもらった。親より優しかった」
「NPOは売上を気にしなくていいので、同僚と和気あいあい。転職して、本当の友達ができた」
「牧場では、人間以外の動物と長時間過ごせて、マジ癒し」
都会の人間関係や競争に疲れた若者にとって、ボラバイトでの人間関係は癒しの場となっているのです。
お薦めのボラバイト
私が実際に体験し、また体験したボラバイト先をご紹介します。
- 老人ホーム
- 障害者施設
- 児童養護施設
- 市民病院
他に役所が絡んでいるボラバイトは優良物件です。
ただし、これらは人手不足なので、いきなり面接をされるケースが実際にありました。
勤める予定が無いのであれば、始めに必ずその旨を伝えましょう。
おすすめできないボラバイト先は、次で具体的に紹介いたします。
ボラバイトの違法性
ボラバイトがネットを初め、一部で悪評なのは違法性を問われているからです。
ボラバイトを募集している企業の中には、単に安い賃金で労働力を確保したい組織が存在します。
そうした企業は何と、最低賃金を下回る時給であなたをコキ使います。
最低賃金は違法性を問えない
最低賃金以下でも、違法性を問うのが難しい――それがボラバイトの問題点です。
例えば、以下のような法律が存在します。

最低賃金の定義

最低賃金の対象となる賃金一覧
ここから分かるのは「最低賃金には家賃補助や食事補助を含む」ので、時給や日給が最低賃金を割っても、法廷で争うのは至難の業です。
これを分かっている経営者は、空き部屋をボラバイトの住居にしてギュウギュウに押し込め、近くのスーパーで食事を買わせます。
具体的にブラックで注意すべきボラバイトは以下の業種です。
- 牧場
- 農業
- 民宿
- 映画のロケ現場
福祉業界はボランティア発祥の業種だけあって、比較的、ブラックなボラバイトのケースは聞きません。
ボラバイトでニートは搾取されるのか?
定職に就かない若者=ニートは、ボラバイトに巣食う悪党にとって搾取の対象です。
残念ながらボラバイトの募集者は善人ばかりではありません。
特に農業や牧場は要注意です。
やりがい搾取がまかり通り、法で定められた最低賃金さえ堂々と破る人間がいます。
ボラバイトを行う際、こういう人間に当たらないよう、注意が必要です。
具体的な策として、契約書は必ず交わしましょう。
ブラックボランティア
ボラバイトとはいえ、労働力を提供するのです。
あなたの大切な時間と体力を提供する以上、最低限の賃金はもらえるように前もって準備が必要です。
ここら辺の詳しくて分かりやすい解説は、「ブラックボランティア」をご覧になれば分かります。
同書はやりがい搾取やボランティアの名を借りた詐欺ノシステムを実に面白く分かりやすくまとめてくれています。
|
ボラバイトの壁の越え方
ボラバイトの壁は、想像以上に高いものがあります。
最も高いのが「収入」の壁です。
いきなりボラバイトに取り組むのは、腰が引けます。
実際に障害児にボラバイトに取り組んだ私はまず、本を読んで勉強しました。
その時に使った書籍をご紹介します。
ボランティアと有償ボランティア
この本はほとんど無いボラバイトに書かれた、非常に分かりやすい本です。
九州大学の名物先生が書かれただけあって、分かりやすくて面白い一冊でした。
Amazonと楽天で購入できます。
|
恋するようにボランティア
有名な大ヒット作「恋するように、ボランティア」をご紹介します。
非常に有名な良書なので、ご存知の方も多いと思います。
刊行が2008年ながら未だにヒットしている原因は、中身がとにかく楽しいからです。
「難しいことは分からないから、取りあえず1冊」の時に、実に役に立った一冊なので、ご紹介しておきます。
Amazonと楽天で購入できます。
|
コメント