「体罰は躾なのか虐待なのか!?」
「言うことを聞かない子供は、殴ったり食事を抜いたりして言うことを聞かせるしかないじゃないか!」
「我が子への体罰は愛情の裏返しだ!」
「いかなる理由があろうとも、子供への体罰は虐待になる!」
こうした「体罰は虐待か否か」――この論争には既に、終止符が打たれました。
2020年4月1日から、子供への体罰が法律で禁止になりました。
しかしながら、 この法律が浸透しているとは言い難い状況です。
この記事は以下の方々にとって有益な記事となっています。
・体罰を受けていて「助けが欲しい子ども」
・「躾」と「体罰」の区別が「?」である保護者の皆様(仕方ないです、線引きが難しいケースは多いので)
・児童福祉関係者
体罰は虐待「体罰の定義」
2020年4月1日から施行された「改正児童福祉法=体罰禁止法」では、体罰の定義がかなり明確化されました。
この改正法では体罰を「体に何らかの苦痛または不快感を引き起こす行為」と定義しています。
以下の2点であっても、体罰として法律で禁じられています。
・親が躾のためだと思って行った行為
・軽微なものであっても体罰とする
より具体的な素案として、体罰の具体例が示されています。
・口で3回注意したけれど言うことを聞かないので、頬を叩いた
・いたずらをしたので、長時間、正座をさせた
・友達を殴ったので、同じように子供を殴った
・盗みの罰として、お尻を叩いた
・宿題をしなかった罰として、ご飯を抜いた
私は「居合」を習っています。
居合の有段者と話しましたが、達人の彼等ですら両膝にサポーターを巻いて正座をしても「5分が限界」と口を揃えます。
正しい正座の姿勢は、日本の文化であり、肩こりや腰痛の防止につながります。
しかし、武術の有段者ですら「5分が限界」とはっきり発言しているので、子供に「正しい正座」を身につけさせる躾においても「上限」はあるのです。
具体的に「これは体罰です。国が許しません」と示すことで、実際に体罰を受けている子どもが「助けて!」と悲鳴を上げる機会が増えることに期待できます。
体罰は虐待「体罰禁止法」
国会と厚生労働省が踏み切った背景には、2018年の東京都目黒区における「5歳の少女が虐待で命を奪われた事件」が大きく影響していると言われています。
当時、5歳児とは思えないような反省文がマスコミで大きく取り上げられ、記憶にある方もいらっしゃると思います。
私が市役所で家庭相談員をしていた頃、虐待を受けていた子供の一定数は、親を庇いました。
「ママが大好き」という手紙を書いた子供もいました。
そうやって 親の機嫌を取らないと、殴られたり、ご飯を食べさせてもらえないからです。
今回の改正法では、「罰を与えることを目的としない行為は体罰に該当しない」としています。
具体的には以下の2点です。
・子供を保護する目的(車道に飛び出しそうな子供の腕を掴んだ)
・他人に被害を及ぼす行為を未然に防いだ(他の子供へ暴力を振るうことを事前に防ぐための手段)
躾と体罰の違い
体罰禁止法では、躾と体罰を区別しています。
躾:言葉で伝える、見本を示す
つまり明確に「体罰で子供を押さえつける方法は、躾の目的に会わない」と明記しています。
体罰によって子供の行動が変わったとしても、それは暴力への恐怖で一時的に行動を変えているに過ぎません。
自分で考えた結果による行動の変化ではないため、子供の成長に繋がっていません。
それどころか、子供の発達に悪影響を及ぼし成長を邪魔します。
「子供の成長において体罰は不要である」と初めて、国が定めました。
体罰禁止法には、具体的な罰則が設けられていません。
今後、法律を運用しながら、罰則規定を検討していくことになりそうです。
体罰禁止法は、2年ごとに見直されます。
弾力的な運用が可能であり、児童相談所の支援や体罰を受けている子供が自ら「SOS」を発信する土台となることが期待されています。
体罰で児童の脳が委縮する
2017年、厚生労働省は体罰と暴言の影響を発表しました。
この発表を行ったのは「愛の鞭ゼロ作戦」に取り組むメンバーでした。
この発表では、「体罰と暴言により『子供の脳が萎縮し変形する』」 という研究結果が報告されました。
私は福井県民ですが、この発表を行ったのは「福井大学子どものこころの発達研究センター」で教授を勤める「友田明美」医師です。
同じ福井県民として、誇りに思います。
友田医師は、体罰を受けた子供と受けていない子供、合計16万人分のデータから、この結論を導きました。
激しい体罰は、前頭前野の容積を19.1%減少させます。
さらに暴言は、聴覚野を変形させます。
つまり、 体罰と暴力は子供の社会生活を送る上で大切な脳の部位を破壊してしまうのです。
感情論ではなく、ついに科学が体罰を否定しました。
体罰の許可を得たスパルタ校
愛知県名古屋市にある学習塾では、堂々と体罰が行われています。
塾長の授業は和やかに進みます。
しかし、生徒が問題を間違えた途端、雰囲気は一変します。
「これが入試本番だったら、どうするんだ! 歯を食いしばれ!」
生徒に問答無用のビンタが飛びます。
この塾ではあらかじめ、保護者から「体罰 OK」 の許可をもらっています。
塾には小学校5年生から高校3年生までの子供たちが通っています。
子供達の成績は、良好なようです。
体罰否定派は、こうした「体罰肯定派」と戦わねばなりません。
体罰肯定派に、勘違いして欲しくない点があります。
「親の許可を取ろうが取るまいが、日本は体罰を禁止している」。
「体罰が子供の脳を破壊することは、科学的に実証されている」。
体罰=暴力によって上がった成績などを一過性に過ぎず、子供の「考える力」が1 mm も向上していないことを自覚すべきです。
体罰による不登校を許さない
躾と称した体罰によって、虐待が発生し子供の命が奪われています。
体罰防止法の大きな目的は、虐待につながる体罰を防ぐことです。
家庭における虐待を発見しやすいのは、学校です。
よって「不登校」を解決することは、体罰の否定に大きく貢献します。
虐待と不登校については、最も勢いがあるニュース「アベマプライム」でも数多く取り上げられています。
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不登校の解決にあたって、興味深いサービスを見つけました。
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私は家庭相談員で、多くの不登校を支援しました。
不登校は長期戦になるのが常だったので、「3週間で解決」は非常に興味深いです。
親による体罰←教師が見張る
教師による体罰←親が見張る
こうした「良好な相互監視体制」が敷かれれば、体罰は激減していくでしょう。
何より、体罰を受けている子どもが「助けて!」と言える社会を構築せねばなりません。
「#しんどい君へ 君は一人じゃない。『助けて』と声をあげてください」
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