2021年8月7日、インターネットが激震しました。
発端は、メンタリスト・DaiGo氏のYouTubeです。
DaiGo氏はYouTubeのLive配信において、言語道断の発言を行い、炎上しました。
また、この発言の被害はインターネットだけに止まらず、私達の生命や人権を脅かすと判断しましたので、皆様と情報を共有したいと思います。
DaiGo「生活保護受給者や路上生活者は不要」
まず、8月7日にDaiGo氏がYouTubeの生配信において何を言ったのか、列挙します。
- 生活保護の人が生きてても僕は別に得しない
- 必要のない命は僕にとって軽い
- 生活保護の人に食わせる金があるんだったら猫を救ってほしい
- ホームレスの命はどうでもいい
- 生活保護者やホームレスはいない方がいい
などなど。
この発言に対して、ホームレスの支援団体やエッセィストが批判しました。
私は救護施設・高槻温心寮で勤務していました。
「救護施設」とは、生活保護を受けている人達が生活する施設です。
また私は、市役所で生活保護CWをしていました。
社会福祉士として、福祉の知識もあります。
福祉専門職として、客観的に評価すると「非常に危険な発言」です。
救護施設では入所者が年に1度、旅行に行きます。
入浴の関係で、肢体不自由がある入所者は日帰り、肢体不自由が無い入所者は一泊でした。
私が高槻温心寮で働いていたときから、この旅行1つとっても、批判がありました。
「生活保護を受けているのに旅行だって!?」と。
落ち着きましょう。
「生活保護は最低生活を保障する」なのです。
つまり、年に1回の旅行に行けない場合、その所得の状態が「最低生活」に達していません。
生活保護受給者を叩いても、給与が上がるわけではありません。
「世論が傾いている」と判断され、社会保障費が削られるだけです。
「生活保護費は削減されてもいい!」という声が聞こえています。
落ち着きましょう。
「社会保障費」の「生活保護費」が削られると、次は「医療保険」や「年金」が削られます。
つまり生活保護費は社会保障費の牙城なのです。
国家予算の生活保護費が削られても、所得税や住民税が安くなるわけではありません。
「批判精神」は民主主義において重要ですが、「登る山を間違えない」ようにしましょう。
繰り返しますが、生活保護費を下げても、給与が上がるわけでありません。
生活保護の国家予算が減っても、所得税や住民税、固定資産税が安くなるわけではありません。
感情論に流されず、「登る山を間違えない」ことが大切です。
YouTubeは炎上商法の流れ
「公務員退職」と「福祉」がテーマのブログで、まさか「YouTube」を取り上げる日が来るとは思いませんでした。
YouTubeやSNSの浸透で、私達は気軽に情報発信が行えるようになりました。
これ自体は素晴らしいことです。
自宅で1人、世界に向けて情報を発信できます。
同時に、この状態が「諸刃の剣」であることを自覚すべきです。
気軽に、また飲酒して発信した情報が、国内外の大勢を傷つけるリスクを抱えています。
どうしても、「ヘイト」を発信してしまった場合は、即座に取り消し、謝罪しましょう。
今回の件でDaiGo氏は、発言を取り消さず、謝罪もせずに、YouTubeで次のように発信しています。
・個人的な感想に間違いもクソもない
・個人の意見
・謝罪っていうのは別に……
・税金をたくさん払っているから許される
「許される」のでしょうか?
生活保護の受給者やホームレスの方は常に、偏見にさらされています。
彼等を取り巻く環境は「ヘイト」にあふれている……とは言い過ぎでしょうか?
救護施設に勤務していた頃、そして生活保護CWだった頃、確かに差別はありました。
世論に影響力がある方の発言は、その差別を助長します。
そして、覚えておいてほしいことがあります。
「ヘイトは風見鶏である。微風でその矢印は変わる。矢印の先にいるのは、自分かもしれない」。
YouTubeはレッドオーシャン
YouTubeが身近な存在となり、「YouTuber」は小学生がなりたい職業の上位にランクインしています。
それ自体は、いいも悪いもありません。
「YouTube」というプラットホームを健全に利用していれば、何の問題もありません。
しかしながら、「YouTube」というプラットホームにおいて「炎上商法」が多発しています。
これはYouTubeで利益を上げていた素人にとって、芸能人の相次ぐYouTube参入が重圧になっていることと無関係では無さそうです。
昨今、エンタメ業界は人々の「可処分時間」の奪い合いと言われています。
「YouTube」というプラットホームはすでにレッドオーシャンであり、利益を上げるのは困難になっています。
利益を上げるのは困難でも、「ヘイト」を軽々しく発信できてしまいます。
素晴らしいプラットホームを今後も気持ちよく使えるよう、マナーは守っていきたいものです。
優性思想とは
福祉業界にとって「天敵」といえる存在が「優生思想」です。
「優生思想」とは、「優生学」から来ています。
「優生思想」の解釈は様々です。
福祉業界で言えば「差別意識を持った個人・団体が自分達を『優秀な人間』と定義し、それ以外の価値・存在を認めない」と定義しても、問題は無さそうです。
「優生思想」は日本において、「相模原事件」で脚光を浴びることになりました。
「相模原事件」は「優生思想」を持った人間による、痛ましい事件でした。
福祉専門職はおろか、平和と人権を尊重する人間にとって、「相模原事件」は忘れてはいけないと思います。
引いては、「優生思想」に負けない社会作りが必要な時代に入りました。
その舞台・発端となるのは、福祉の現場でしょう。
終わりに
今回はいわゆる「インフルエンサー」のYouTubeをご紹介しました。
ただ、インフルエンサーではなくとも、「ヘイト」は慎むべきです。
1秒後、交通事故に遭って、生活保護を受給することになるかもしれません。
景気の上昇が感じられない昨今、自分がホームレスになってしまうかもしれません。
他人事ではありません。
自分に優しく、他人にも優しく。
綺麗事に聞こえるかもしれませんが、今の時代にこそ、私達に強く求められているのが「優しさ」かもしれませんね。
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