里親とは「里親のデメリットは?」里親になる条件と里親の手当を紹介

里親とは?里親のデメリット 児童福祉
里親とは?里親のデメリット

「虐待を受けている子どもがいるけど、施設が満床だ!」

「兄が死亡した。その子どもはどうなるの?」

こうした悲鳴に応える制度が「里親」です。

里親は子ども達にとって要(かなめ)となりますが、分からないことが多いのも事実です。

そこで今回は子どもと親にとって大切な「里親」をご紹介します。

里親とは?

日本でも親の虐待などで暮らせない子どもがいます。

そんな子ども達を我が家で預かって育てるのが「里親」です。

こうした子どもは45,000人もいるのです。

そのうち1割が里親の元で育っています。

1割の子どもが里親の元で育つ

1割の子どもが里親の元で育つ

里親の4類型

里親には4つの種類があります。

養育里親

養子縁組を目的としない里親です。

数週間~1年以内の短期委託など、柔軟性があります。

ただし児童が15歳を迎えた場合、普通養子縁組を行います。

4人まで委託が可能です(実子が2人の場合は6人まで)。

専門里親

虐待や非行少年を専門に委託されます。

一般的に養育里親の経験が3年以上必要です。

特徴は、委託できる児童の数は2人までで、委託期間は2年と決まっている点です(延長可能)。

養子縁組里親

養子縁組を前提とした里親です。

下記のルールがあります。

  1. 実子としての養子縁組は6歳未満
  2. 裁判所の許可が必要
  3. 養子縁組して6ヶ月間は行政のモニタリングあり
  4. 子どもが成年したときの年齢が65歳未満(であることが望ましい)

親族里親

3親等以内の親族(祖父母、叔父、叔母など)が里親になる制度で、養育里親より優先されます。

里親手当は支給されます(養育の義務が無い場合に限る)。

季節里親

正月や夏休みなどに、1週間限定などで預かる里親です。

新説されたので、各自治体の温度差が最も激しい里親です。

課題は定着率

里親への委託率は上がっています。

里親の委託率

里親の委託率

ところが、4人に1人が委託後1年未満でギブアップしています。

里親の定着率

里親の定着率

里親に任せきるのではなく、地域全体で子どもを育てる姿勢は必須です。

里親になる条件

里親になるのに、資格は不要です。

以下の段取りを踏むことになります。

  1. 児童相談所へ申し込み
  2. 児童相談所の面談
  3. 児童相談所での5日間の研修
  4. 児童相談による家庭訪問調査
  5. 各都道府県に設置された審査会の審査

児童相談所の介入

審査会で「里親は可能です」と決定されても、児童相談所の介入は続きます。

  1. 子どもとの交流を通じた適性のモニタリング
  2. 子どもを預かってからの家庭訪問調査
  3. 5年ごとの更新研修

委託解除

これらの段取りで「不適切」と判断されれば、里親としての委託は解除されます。

実際には虐待などの事件を起こさないかぎり、解除事例はありません。

里親の手当

特に養育里親を選ぶと気になるのが「出費」です。

これを「個人で賄え」となると、成り手がいません。

そこで、児童1人につき月額9万円の「里親手当」が支給されます。

また、子どもの食費や日用品代(衣服代、お小遣い)として、児童1人につき月額51,610円(乳児の場合は59,510円)の「一般生活費」も支給されます。

加えて、幼稚園や学校にかかる費用、塾代なども支給対象です。

もちろん、医療費も支給されます(現物給付)。

月々、14万円が手当として入ってきます。

そのため、里親が貧困になるケースはありません。

ところが、この潤沢な手当をめぐって悲しい事件が発生しているのです。

この点を次で説明します。

里親のデメリット

里親はいいことづくめではありません。

昼と夜が存在するように、メリットとデメリットがあります。

実態に即したデメリットをご紹介ます。

虐待の温床になる

そもそも児童虐待は「家庭」という社会的密室で行われます。

里親も残念ながら、例外ではありません。

厚生労働省によると、施設に比べて3倍以上の件数になっています。

その件数は、過去10年間で900件を超えています。

性的虐待が多いのも、被害の深刻さに拍車をかけています。

死亡事件まで起こっており、児童相談所の強い介入が待たれます。

金銭の搾取

里親制度は明朗会計になっていません。

「家庭で育てる」がモットーですので、第3者の目が届かないのです。

NPO法人「子どもセンターてんぽ」によると、奨学金を里親に使い込まれた事例まであります。

「里子へのお金」は給料ではない

税金で里子への補助金が出ています。

これは里子の学費や衣服などの日常品費を賄うためです。

しかし、この費用を「里親への給料」と勘違いしているケースがあります。

公認会計士や役所による適切な監査が必要なのです。

里親になった政治家「塩崎恭久」さんの心意気

里親になる元衆院議員 塩崎恭久さん

里親になる元衆院議員 塩崎恭久さん

引用:www.okinawatimes.co.jp

元・内閣官房長官の塩崎恭久さんは、厚生労働大臣も務めた大物政治家です。

そんな塩崎さんは今、里親になっています。

一体何が、彼を動かしたのでしょうか?

里親になるための研修は?

「アポなしの訪問だったので、とても驚いた」

児童相談所の窓口で応対した職員はそう振り返ります。

塩崎さんは、地元・松山市の児童相談所をアポ無しで訪問したのです。

理由は「里親になる研修を受けるためにはどうすればいいのか?」を聞くためでした。

里親は使い勝手が悪い制度

塩崎さんは、里親に関する法律を作ってきた国会議員として「改善すべき点はないのか?」を絶えず自問していたのです。

ここまでの経緯を塩崎さんは、こう振り返ります。

「国会議員として里親に関する法律や制度を作ってきた。

国会議員を引くことになり、これからはその法律や制度を使ってみて使い勝手の悪いところをどんどん直していこうと思った。

年齢も年齢なので、民間の機関などで里親のサポートをしようと思っていたが、児童相談所の里親担当の方に話を聞いていたときに、里親に年齢制限はあるのか尋ねたら、『そんなものはないです』と言われたので、じゃあやってみようかと」

養育里親

塩崎さんが受けた研修は「養育里親」になるためのものでした。

「養育里親」は子どもが自立するまで預かって、育てることができます。

また、週末や長期の休みだけ、子どもを迎え入れて一時的に育てることもできます。

塩崎さんは都道府県の審査を経て、この春にも里親として登録されます。

里親の大改革

里親制度は、平成28年に大きな改革が行われました。

児童福祉法が改正され、親元で暮らすことのできない子どもたちが、児童養護施設などの「施設」ではなく、里親などの「家庭」で優先的に養育されるよう、これまでの方針がガラリと変わったのです。

その背景には、海外の研究で「子どもは『施設』ではなく特定の大人と継続的な関係を築ける『家庭』で育てた方がよい」ことが実証されたためでした。

しかし海外に、比べ日本は遅れています。

当時、厚生労働大臣で法改正を進めた大臣の塩崎さんは振り返ります。

子どもの権利

「子どもには健全な養育を受ける権利がある。

その環境をどう整えるかを専門的に考えたときに、親あるいは特定の大人との愛着関係が安定的にあることが必要だということだったので、家庭での養育を優先とする原則を法律に入れ込んだ。

初めてのことで抵抗も強かったが、その抵抗に負けずに実現し、全会一致で成立した。本当に大きな1歩前進だった」

里親手当の拡充

子どもを受け入れやすい環境作りのため、法律改正で里親への手当ては拡充されました。

現在では、一般的な「養育里親」の場合、子育てにかかる食費や服代などを含め、子ども1人あたり、1か月に約15万円が支給されます。

このほか、教育費や医療費も支給されるのです。

しかし、課題はいまも残っています。

里親委託率

児童福祉法の改正を受け、厚生労働省は児童相談所が保護し、施設や里親などに預けられている子どものうち、里親などに預けた割合「里親委託率」について、次のような目標を示しています。

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里親委託率の目標値

里親委託率の目標値

しかし厚生労働省によると、昨年度末時点で、全国の児童相談所が保護し、施設や里親などに預けられている子どもは3万3810人です。

このうち、里親などに預けられたのは7707人で、里親委託率は平均で22.8%にとどまっているのが現状です。

里親委託率の現状

里親委託率の現状

愛媛県内の児童相談所で児童福祉司を長年務めた梶川直裕さんは、

「委託率が増えない背景には、保護される子どもが抱える事情もある」

と指摘します。

「例えば、保護が必要な子どもの中には学校にいけない子も少なくなく、共働きで日中は家を空けなければいけない里親には、預けられないケースもある。

そうした里親と里子のマッチングの問題もあり、委託率を上げていくのは簡単なことではない。

さまざまな事情のある子どもの多様なニーズに応えられるようにするためにも、まずはもっと里親を増やしていかなければいけない」

里親の思い

実際に里親をしておられる方は、どう感じているのでしょうか?

塩崎さんは、千葉県で20年近く里親として子どもを育て、いまも5歳から12歳までの子ども6人を預かっている吉成麻子さん(54)と面会しました。

食事は一人でとらせない

吉成さんは先輩里親として自身の経験を語ります。

「虐待のケース、そうでないケースにかかわらず、実子の子育てとは、ちょっと違う。

ある子は、わが家に来てご飯を食べたときに『おかわりできるなら弟も連れてきてあげればよかった』と言った。

それがやっぱりすごく衝撃だった。

食生活は改めて大事なんだなと思い、必ず、毎日子どもたちみんなで一緒にご飯を食べるようにしている。

最近子どもの1人が『僕も大きくなったら里親になりたい』て言ってくれて、すごくうれしかった」

一方、預かった子どもの中には、愛着をもってもらえないケースもあるのです。

愛着障害

「3歳を過ぎてからわが家に来た子がいて、何年たってもいわゆる『愛着障害』がある。

決して関係は悪くないし、むしろいいと自負しているが、肝心なところで、するっと私たちの前から逃げるような、私たちをおとしめるようなうそをついたりする。

ダメなことはダメと教え、いいことは褒め、毎日を一緒に過ごしているけど、なかなか成果が出なくて自分に対しても歯がゆいこともある」

吉成さんは、

「里親を続けられるのは、近所や友人などの理解やサポートがあるからだ」

と強調します。

「親元で暮らすことができない子どもが少しでも多く家庭に預けられるようになるためには、里親制度がもっと広く知られ、覚悟を持って里親をやってみようという人と、里親を支えようと思う人の両者が増えなければいけない」

との訴えは非常に重いものがあります。

里親の妻

塩崎さんに「里親になりたい」と打ち明けられた妻の千枝子さんは、当時をこう振り返ります。

「国会議員を辞めて『ぬれ落ち葉』になられたら困るなって。

元気な間は目的をもって何かさせてもらえることが一番いいし、自分で変えた里親の制度を現場から見たいという気持ちも共感できるし、国会議員の間はすべて仕事中心にせざるをえない状況だったので、子育てを改めて知るということもいいことではないかと思った」

塩崎さんの新しい挑戦が始まります。

「里親を知りたいけど『児童相談所』に抵抗がある」場合の対応

里親の窓口は児童相談所になります。

ところが児童相談所のハードルは高いのです。
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そこで私も勉強した里親を知るのに便利な本を2冊紹介します。

里親になりませんか

1冊目は「里親になりませんか 子どもを救う制度と周辺知識」です。

作者の吉田菜穂子さんは全国里親会の評議員だけあって、知識と経験が豊富です。

優しい語り口なので、読みやすいです。

制度のことから虐待にいたるまで、この1冊で全てが学べる良書です。

Amazonと楽天で購入できます。

 

里親になると決めました

里親を漫画で楽しく学べるシリーズです。

作者は不妊治療が上手くいかず、里親になることを決意したご夫婦です。

漫画と侮るなかれ。

里親の研修などがリアルかつユーモラスに描かれ、楽しみながらも里親を深く知れたシリーズでした。

スマホやタブレット、パソコンで読めるので、コミック購入時に気になる本の分量やゴミを気にしなくていいのも良かったです。

Amazonと楽天で購入できます。

 

里親を学ぶメリット

「里親は関係ない」という声が聞こえてきます。

本当にそうでしょうか?

不妊治療を行っている方は必須

私は不妊治療を5年半行いました。

子どもを授かっていなかれば、養子縁組しか打てる手がありませんでした。

逆に言えば、里親制度を勉強したからこそ、辛い不妊治療の結果を恐れる必要がありませんでした。

知識は体と心を救ってくれるのです。

「子を持つ親全てに必要」なぜ?

里親の知識があると、虐待を行いにくくなります。

児童相談所がその気になれば、虐待家庭から子どもを取り上げるのは可能――この意識づけができるからです。

住んでいる地域の施設が満床でも関係ありません。

「住民の数だけ、児童相談所は虐待家庭から子どもを取り上げられる」

極論ですが、この考えが広まれば、児童虐待は減っていくでしょう。

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