「透明な螺旋」のあらすじ紹介&意味を解説!感想とネタバレレビュー

「透明な螺旋」のあらすじ紹介&意味を解説!感想とネタバレレビュー 小説
「透明な螺旋」のあらすじ紹介&意味を解説!感想とネタバレレビュー

「透明な螺旋」は東野圭吾先生のミステリー小説で、ガリレオシリーズ第10作です。

主人公はお馴染みの湯川学です。

物理学者の湯川が、警察お手上げの難事件に挑みます。

とはいえ、刑事の草薙と内海も鋭い観察眼は発揮しています。

1998年にガリレオシリーズの第一作「探偵ガリレオ」が書籍化されてはや25年の月日が流れました。

記念すべき第10作は、ズバリ”家族”をテーマにした傑作に仕上がっています。

東野先生は「麒麟の翼」という傑作(加賀シリーズ)でも、テーマを家族に据えておられます。
(「麒麟の翼」は本作の解説でも登場するので、ぜひご覧ください)

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家族ならではの温かい……と思いきや、かなりシビアな一作に仕上げっているのが本作です。

そこで今回は、透明な螺旋のあらすじやタイトルの意味、さらに感想とネタバレレビューをお届けします。

最後までお楽しみください。

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「透明な螺旋」のあらすじ紹介

終戦後まもなく、根岸秀美は家出同然で上京しました。

東京で出会ったバーテンの弘司との間に子をもうけます。

しかし弘司は脳出血で死亡。

女手一つで育てる自信が無かった秀美は、子を施設の前に捨てていきます。

手作りの人形(背中に子につけたかった名前が書いてある)とともに。

――現在。

島内園香は生花店に勤務しています。

そんな園香は、母・千鶴子をクモ膜下出血で亡くしてしまいました。

落ち込む園香は、言い寄ってきた男・上辻と交際を開始し、同棲するようになりました。

そんな折、南房総沖で上辻が射殺体で発見されます。

草薙と内海は捜査を開始。

しかし、恋人の園香は行方不明になっていました。

園香にはアリバイがあるのに……。

行方不明中の園香は、絵本作家の奈江と行動を共にしています。

奈江を捜査すると、浮かんできたのは、盟友であるはずの男、湯川学。

そして浮上した秀美――銀座で大成功をおさめ、ママにまで昇りつめていました。

現代で起きた射殺事件。

しかし因果は、戦後まもなくの捨て子にまでさかのぼり……。

そして湯川と草薙は、激しく衝突します。

湯川が何か隠していると見抜く草薙。

頑なに”何か”を護り通そうとする湯川。

湯川は認知症で老い先長くない母の介護を行いながら、必死で戦って……。

草薙は湯川に尾行までつけさせます。

湯川が黒幕なのか!?

どうして上辻は射殺されたのか!?

園香のアリバイは巧妙なトリックなのか!?

”2人の子を捨てた母”とは!?

未読の方へ

ここからはネタバレ満載ですので、ぜひ本書をご覧になってからお読みください。

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「透明な螺旋」の意味を解説!

タイトル「透明な螺旋」の意味は、DNAです。

DNAとは、生物の体を構成している設計図のことです。

人間もこのDNAで構成されているのです。

DNAの形が螺旋状になっているのは有名です。

小説「透明な螺旋」の意味を分かりやすく解説!

小説「透明な螺旋」の意味を分かりやすく解説!

引用:en.wikipedia.org

また”DNA関係”ともいうように、DNAは血縁=親子関係の象徴でもあります。

「透明な螺旋」では、次の2つの親子関係が登場し、物語の中枢を担っています。

  1. 秀美と園香
  2. 湯川と奈江

このうち1は秀美の勘違い(上辻と園香が騙していた)のですが……(後述します)。

本作のテーマである親子関係を表すのに、”螺旋”=”DNA”ほど相応しいものはありません。

”透明な”とついていることから、”明らかになる親子関係”の象徴といえそうです。

「透明な螺旋」の感想

優れたミステリー小説は、最後まで読者を飽きさせません。

最後の最後まで、ドンデン返しが待っています。

例えば、「六人の嘘つきな大学生」などが最近の代表例です。
※「六人の嘘つきな大学生」は次の記事でご紹介しています。

本屋大賞2022六人の嘘つきな大学生ネタバレ考察ヨウイチ解説

本作も、「最後はほっこりして終わりかぁ……」と思わせておいて……。

いやあ、やられました。

施設に捨てられた子は誰なのか?

園香が秀美の実の孫ではないとか……。

秀美の娘が、園香の亡くなった母親ではありませんでした。

秀美の娘は、捨てられた施設で死亡していました。

人形は、その子の形見だったのです。

園香の母親が、亡くなった子どもの分まで大事にしていたのでした。

園香はその事実を知っており、上辻に打ち明けます。

上辻は秀美のお金目当てで、園香に秀美に近付くよう命令したのでした。

衝撃!湯川の真実!

逃避行を続ける奈江。

その逃避行を手助けしている湯川。

2人の関係ですが……。

実の親子でした(!)。

湯川は奈江に捨てられた子どもでした。

今の両親に預けられ、育ててもらったのです。

湯川にとって、母親は2人いたのでした……。

生みの親である奈江。

育ての親で、現在は認知症で余命いくばくもない女性。

彼女は亡くなります。

しかし、湯川と奈江の関係は続きます。

奈江に、再登場の機会はあるのでしょうか?

まだまだ、ガリレオシリーズから目が離せません。

「麒麟の翼」でも出てきた”2人の親”

麒麟の翼でも、”父親は2人”というテーマがクライマックスに繋がっていました。

本作も”子を捨てた母親は2人”。

「1人だろう」と思い込んでいると、東野先生にまんまと騙されてしまいます。

「透明な螺旋」のネタバレレビュー

園香はで同棲している上辻からDVを受けていました。

それを知った”祖母”の秀美が、上辻を射殺したのです。

秀美は園香に疑いがかからないよう、旅行に行かせてアリバイを作らせました。

園香と奈江は親交があったため、湯川がそれを知る事態に。

……東野先生、この辺りが分かりにくいです。

湯川が園香の逃亡を手助けする=草薙と対立する、という構図を描きたかったのでしょうが……。

はい、この辺の人間関係は非常に分かりづらいのが残念でした。

「透明な螺旋」の残念な点

他にも、本作にはいくつかの残念な点(分かりにくい点)があります。

  1. 湯川がなぜ秀美の犯行だと知り得たのか?
  2. 秀美はなぜ湯川の説得を受けて自首したのか?(証拠はないはず)
  3. 秀美が銃を使う必要性
  4. 湯川が園香の逃亡を助けた理由(奈江に手伝ってもらった理由)

とはいえ、本作が傑作であるのは間違いありません。

映画化を期待しています。

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