看守の信念ネタバレあらすじ作家の城山真一紹介「看守の流儀の続編」

看守の信念ネタバレ考察 小説
看守の信念ネタバレ考察

看守の信念は、架空の刑務所「加賀刑務所」を舞台に、刑務官と受刑者の濃密な人間関係をテーマに描くミステリーです。

そんな「看守の信念」は「看守の流儀」の続編となります。

本作は前作を越えた名作として、話題になっているのです。

そこで今回は、看守の信念のネタバレなしのあらすじ紹介とネタバレ考察をお届けします。

さらに作者の城山真一先生のご紹介と、前作「看守の流儀」についても触れていますので、ご覧ください。

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看守の信念ネタバレ考察とあらすじ

各話のネタバレなしのあらすじとネタバレありの考察をお届けします。

未読の方は、あらすじのみご覧ください。

第一話しゃくぜんのあらすじ(ネタバレなし)

しゃくぜん:仮釈放前教育

収容病:長く刑に服し過ぎたせいで、出所したあとの環境の変化についていけなくなる。

刑務官・亀尾:45歳の看守部長。ベテラン。あだ名は「ドンガメ」。幼少期から、何でもとろい。緊張すると意識が遠くなり、幻聴が聞こえる。夜勤中に受刑者が失踪して、処分を受ける。この件で昇進が遠のいたものの、昇進にしがみついている。

刑務官・火石:指導官。

受刑者:坂本納温(さかもとじおん):ハーフ。服役は2度目。今回は傷害で服役。ひどい斜視。斜視をイジられるとキレる。元漁師で泳ぎが達者。海に詳しい。

「しゃくぜん」の一環で、坂本が外出。刑務所から付き添いが必要ということで、亀尾達が監視を務めます。

外出先は、元刑務官の長門がリーダーを務めるボランティア団体の海清掃。

海清掃に行く前、コンビニに寄ってあげると、坂本はそのコンビニ限定の菓子を買ったのでした。

坂本を「しゃくぜん」に選んだのは、火石でした。

火石は「坂本はしゃくぜんを始めたばかりなので、実際の釈放までには時間があるから」と坂本を推薦したのでした。

ボランティア団体にいた二人の若者に、ハーフ顔であることをイジられた坂本は、怒りで……。

その時。

海には、北朝鮮らしきボートが漂流しています。

ボートには、漁師らしき人間がいたものの、溺れそうです。

海岸はパニックになり、亀尾達も気を取られてしまうのですが、その時。

消えた坂本!

慌てて捜索する亀尾達。

すると30分後、坂本は海から漂流したらしい北朝鮮の漁師を担いで現れます。

亀尾は刑務所の幹部に、30分間の失踪を報告しませんでした。

「坂本が助けに行くと言ったので、許可しました」と虚偽の報告をしたのです。

しかし坂本は「それで助かった」とならず、仮釈放自体を取り消してほしいと訴え出したのです。

坂本は「あの北朝鮮の人間に助られらた」と謎の言葉を口にします。

そして亀尾の耳に幻聴で「真っ直ぐ突き進め!」と声が。

坂本が買ったはずの、菓子が消えている!

出世を棒に振ってでも、亀尾は真相を報告するのか!?

第一話しゃくぜんのネタバレ考察

亀尾は、刑務所幹部に「海で30分間、坂本がいなくなった」と真相を打ち明けます。

しかし幹部達は、亀尾に「出世を棒にふるのか?」と返すだけで、まるで坂本の失踪を知っているかのようでした。

坂本と火石に同じ虫さされの跡があったことから、亀尾は現場に火石がいて、密かに坂本を監視していた事実に辿り着きます。

実際に火石は、あの海岸にいたのです。

そして事の顛末をすでに報告済でした。

実際には、坂本は火石が隠れていた雑木林に逃走したのです。

そこで火石に遭遇した坂本は、自分の意思で戻ることを決意します。

その方便として、北朝鮮の溺れた漁師を救ったことにしたのです。

それを知っていた刑務所幹部は、亀尾が正直に報告したこと――亀尾が「看守の真偽」に辿り着いたことを評価したのでした。

また、火石は坂本が収容病にかかっていることを見抜いており、坂本がそれを乗り越える期間が必要だと最初から判断していたのです。

コンビニ限定の菓子は、火石が坂本からもらって食べたのでした。

この一件が片付いた事、加賀刑務所では総務課長の女性、芦立が刑務所長から「火石は邪魔だから、不祥事を掴んで報告しろ」と命じられます。

芦立は既婚者でしたが、夫は全国を飛び回る商社マンで、夫婦仲は冷え切っていました。

さらに、自宅がある愛知県には、引きこもりの一人息子を残しています。

刑務所長は火石の不祥事を掴めば、芦立を加賀刑務所から愛知県に異動させてやると交換条件を持ちかけたのです。

所長は「火石は麻薬の売人だった前科者と会っている」と芦立に告げたのでした。

第二話甘シャリのあらすじ(ネタバレなし)

甘シャリ:特食。菓子やジュース。受刑者は甘い食事に飢えているので、ご褒美の甘い食事に目が無い。

刑務官・武吉:プラグラミングが得意な女性、和恵と結婚したいが。

受刑者・小里:45歳、独身。醤油蔵の跡取り息子。事業が傾き、妻の不倫で人間不信。窃盗で収容。

芦田は火石の尾行を開始します。

喫茶店で火石を見ていると、弁当屋の女性と親し気に話しています。

さらに、前科のある男性とも。

芦立は、この男性が刑務所長が言っていた「クスリの売人では?」と考えます。

武吉は、和恵に結婚を切り出そうとしますが、逆に和恵から「T吉は暴力刑務官」と書き込まれたネット掲示板をプリントアウトした用紙を見せられます。

和恵に「このT吉は、あなたじゃないの?」と迫られる武吉。

武吉はその犯人が、以前出所した緑川という受刑者だと気付いていました。

加賀刑務所では、運動会が行われました。

その最終競技は綱引きでした。

綱引きで、武吉が担当するグループは接戦でしたが、最後尾にいた小里の転倒で負けてしまいます。

転倒で、小里は腕を負傷。

翌日。

小里と同じ房だった飯沼が高熱で作業を早退します。

その日、加賀刑務所で、集団食中毒が発生。

チャーハン、はるさめスープ、ざーさいの漬物。

チャーハンを担当していたのは、小里でした。

その小里は同じ調理係の受刑者から「様子がおかしかった」と密告されます。

刑務所内で協議した結果、小里が運動会で負傷した腕で黄色ブドウ球菌が生まれ、それで故意に食中毒が発生したのでは?との疑いが持たれます。

小里が緑川のように、出所してから”お礼参り”するのでは?と恐怖を覚える武吉。

それでも武吉は小里の言うことを信じようと、1対1の面談にのぞみます。

面談で小里は、「黙秘します」と驚愕の言葉を口にします。

食中毒は、小里の仕業なのか?

小里の言動に刑務所幹部は激怒し、懲罰を課そうとしますが、火石は慎重です。

武吉の愚直な人柄で、果たして恋愛は実るのでしょうか?

第二話甘シャリのネタバレ考察

保健所の調査で、原因は焼き豚の具材に原因があったことが明らかになります。

一同安堵しますが、火石は慎重で、調理場の検査を要求します。

火石の見立て通り、先日の落雷で、加賀刑務所の炊事場の冷蔵庫は動作不良を起こしており、それが原因で焼き豚が悪くなっているのでした。

火石と武吉は、小里と飯沼がいる房の検査を行います。

そこで、小里が酒を造っている証拠を見つけました。

武吉はその証拠で小里を追究し、酒造りを吐かせます。

酒造りの過程で、黄色ブドウ球菌が発生してしまったのです。

小里の厳罰が検討されたものの、火石と武吉は更生に注力すべきだと主張し、通りました。

これで武吉は、緑川のときのように逆恨みされません。

その事情を武吉から聞いて知っていた火石の配慮でした。

和恵と再びあった武吉は、彼女がネット掲示板から武吉の誹謗中傷が書かれた箇所を削除した事実を聞かされます。

自分を大切に思ってくれる和恵に、武吉はプロポーズしたのでした。

第三話赤犬のあらすじ(ネタバレなし)

赤犬:放火犯

就労支援室:稲代(31歳)。二村(55歳)。稲代と二村は契約職員。1年ごとの更新がある。
総務課長補佐:後藤田

受刑者・石貫健太:25歳。軽度の知的障害。

芦立は喫茶店にいる火石を監視しています。

そんな火石は、若い女性に現金を渡しています。

芦立は意を決して、所長に密告する前に、火石に詰め寄ります。

すると若い女性は「塚崎華(ツカサキハナ)」と名乗ります。

彼女は、火石の姪でした。

お弁当屋さんの女性は華の母親で、火石の義理の姉でした。

それを知った芦立は火石に謝罪し、自分に引きこもりの息子がいることを白状します。

芦立の友人が自宅に週に何回か訪問して、食事を作ってくれている事情まで話すのでした。

加賀刑務所は会計検査を控え、ピリピリしていました。

特に総務課長の後藤田は相当、緊張しています。

そんな後藤田から稲代は「内定者を1件も出せなければ、就労支援室の稲代か二村のどちらかは契約更新しない」と告げられてしまいます。

後がなくなった稲代は、火石の助言を受け、更生の現場で受刑者たちの観察を始めます。

目に留まったのは、手作業で指先が冷たくならならい――寒さに強い石貫でした。

石貫の作業にも高い評価が下され、さらに受刑者の就職に前向きな企業も見つかり、石貫を面接へ進めます。

そんなとき、加賀刑務所の備品保管庫で火災が発生。

第一発見者は稲代でした。

何とか延焼を防ぎ、火災は鎮火されます。

備品保管庫は石川監獄からの建物で、幽霊が出るとの噂が。

人気が無い場所での火災で、赤犬――放火が疑われます。

火事の原因は、幽霊なのか放火なのか?

石貫は面接を突破して採用を勝ち取れるのか?

加賀刑務所は会計検査をくぐり抜けられるのか?

第三話赤犬のネタバレ考察

火事以来、なぜか後藤田は安心しています。

加賀刑務所の幹部会議で、火石は「火事は人為的なもの」とぶち上げるも犯人に辿り着けず、再調査となります。

しかしこれは火石の罠でした。

火石に焚きつけられてしっぽを出したのは、後藤田でした。

後藤田は契約期間で二村を脅し、放火を企てたのです。

二村は寸前で良心によって回避したものの、後藤田には放火をする必要がありました。

備品保管庫の納めれれている備品の数が合わず、このままでは会計監査で指摘されてしまうのです。

そのため後藤田は放火したのでした。

火石は加賀刑務所にダメージが来ないよう、幹部に交渉して、後藤田を左遷させます。

二村は良心が許さず、退職しました。

そして石貫は――採用面接で落ちてしまいました。

理由は「社員が前科者をよく思わないから」でした。

しかし火石は、石貫の指先が冷たさに強いという稲代の報告から、牡蠣をむく職場を紹介します。

そして石貫は見事、内定を勝ち取ったのでした。

第四話がてのあらすじ(ネタバレなし)

がて:手紙。手紙を逆さから読んで、短縮した。

ハト:鳩を飛ばす。外部との不正通信。

刑務官:諸田直哉

受刑者:安藤。白髪の坊主頭。強盗と窃盗を繰り返し、七度目の服役。

教かい師:現覚。寺の住職。月に何度か加賀刑務所を訪れ、ボランティアで教かい師(受刑者の告白を面談で聞く)をしている。さらにDJとして加賀刑務所で「マンデーナイトアワー」を担当している。

火石は芦立に告白します。

火石「義理の姉は前科者なんです。名は木花弥生(きはな やよい)。弥生は覚醒剤で逮捕され、刑務所に入っていました。私の兄は5年前に他界しました。その兄から生前、弥生とその娘を頼むと頼まれていました」

その遺言どおり、火石は弥生とその娘の世話をするため、キャリア組でしたが、加賀刑務所を赴任先に選んだのでした。

ちなみに弥生の娘は事件のため、高校を中退し、シナリオの学校に通っています。

「塚崎華(つかさき はな)」というのは、ペンネームなのです。

義理の姉は「弁当屋に来るヤクの売人とは、ただの店員と客の関係」と火石に説明しています。

火石は弥生が再び、覚醒剤に走らないよう、喫茶店から弥生が働く弁当屋を監視していたのでした。

それを知った芦立は、火石の監視を辞める決意をします。

刑務官の諸田は、受刑者の安藤への暴行で注意を受けました。

安藤が作業で手を抜いた(ように諸田には見えた)うえ、彼は諸田の肩にぶつかってきたのです。

安藤の謝罪もおざなりだったため、諸田は頭にきて、彼に結果として頭突きを食らわせてしまいました。

事は穏便に済んだものの、諸田はぎっくり腰で休むことになった現覚の代わりに、教かい師として、受刑者の告白を聞く役割とDJをする羽目になります。

諸田は仏教系の大学を卒業しているため、その経歴を火石に見込まれたのでした。

教かい師としての面談で、諸田は安藤と顔を合わせます。

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その席上、安藤は真剣に仏教の教えをこい、諸田を驚かせます。

そして終わりに近づいた頃、安藤は諸田にこう告げるのです。

安藤「ジャズシンガーだった女と手紙のやり取りをしている。女の名前はアキ。会いにきてくれるというが、面会に来てくれない。アキの顔を拝みたい」

安藤がアキの顔にこだわるのには、実は深い理由があるのですが――。

諸田は安藤宛に届いたアキの手紙を読んでみます。

そこには確かに「ジャズシンガー、桑名亜紀」と書かれていました。

さらに「ムーンリバー」という店名が記載されていました(この店名は伏線になっています)。

諸田がムーンリバーを検索するも、違う店が出てきます。

さらに諸田が検索すると、「ムーンリバー閉店」の文字が。

諸田は意を決して、ムーンリバーがあった土地に行ってみます。

すると、なぜか強気な郵便局員に「怪しい」と疑いの目を向けられて、慌てて帰る羽目に。

諸田は困り果て、火石に相談します。

すると火石から「安藤は糖尿病が進行しており、目が……」と告げられます。

作業中に諸田にぶつかってきたのも、目が見えにくかったからかもしれません。

そして火石は諸田とともに調査する協力を快諾するも、覚悟はあるのか?と警告します。

火石「ムーンリバーを調べることは、ハトに該当してしまうかもしれない」

火石「ムーンリバーと桑名亜紀について何か分かっても、安藤には知らせられない」

それも諸田は仏教の教えに従い、安藤のために調査を開始します。

果たしてムーンリバーと桑名亜紀は、安藤のガセだったのでしょうか?

第四話がてのネタバレ考察

火石と諸田は、ムーンリバーがあった土地を訪れますが、やはりありません。

そこで周辺地図を眺めた火石はピーンときます。

火石が目を止めた店、その店名は「ティファニー」。

映画「ティファニーで朝食を」の主題歌は、有名なジャズの名曲「ムーンリバー」だったのです。

そして火石と諸田は、ティファニーへ。

ティファニーで会ったのは、ムーンリバーの強気な郵便配達人でした。

郵便配達人はティファニーを大事にしており、実はムーンリバーに届く郵便を運んであげていたのでした。

ティファニーの女店長は、桑名亜紀の娘、由菜でした。

由菜の話で、以下の真相が明らかになります。

・母親の亜紀は癌で亡くなった。
・亜紀宛に届く安藤の手紙への返事を書いていたのは由菜

ある夜、亜紀は窃盗未遂を犯してしまいます。

アパートに帰って震える亜紀の前に、安藤が現れます。

安藤はブルーリバーへ来た際、亜紀の歌声に惹かれ、二人は男女の関係になっていました。

安藤は自分の逮捕が近付くのを悟り、亜紀の罪を被る決心をしたのです。

安藤が加賀刑務所へ収監された後も、亜紀は恩義を感じて、手紙を書いていたのです。

そんな亜紀は闘病のかいなく亡くなってしまったものの、由菜はそれを言い出せず、安藤へ手紙を書く役割をコッソリ引き継いだのです。

後日。

由菜から「由菜」名義で届いた手紙――その内容は、だましていてゴメンなさい。

糖尿病が進んで目がほぼ見えなくなった安藤のために、諸田は手紙を読み上げます。

その手紙で亜紀の死を知った安藤は、抜け殻になります。

そして、マンデーアウトアワーの日。

由菜が考え、脚本学校に通う火石の姪が脚色した手紙を、諸田が読み上げます。

「天国から、あなたに手紙を書いています。

あなたのお陰で、私も娘も元気に暮らせています」

そのラジオ放送を聞いた安藤や他の受刑者は、感動で泣いてしまうのでした。

そして安藤は、治療のため医療刑務所へ移動することになります。

諸田はそんな安藤へ、カセットテープを渡します。

仏教の教えが入っていると安藤に告げたそのカセットテープのタイトルは「月の光」=ムーンリバー。

仏教の教えが終わった後は、由菜が歌う「ムーンリバー」が収められていたのです。

それを知った安藤は、諸田を拝むのでした。

第五話チンコロのあらすじ(ネタバレなし)

チンコロ:密告

元受刑者で桜栄土木の社員:香取、国分
元受刑者で桜栄土木の元社員:内海(群馬の転職先で火事で死亡)
桜栄土木の社長:栗本。人が良さそう。桜栄土木を立て直した功績が大きい。桜栄土木の持ち株:40%
桜栄土木の常務:桂野。少年院に入っていた、栗本に拾われた。桜栄土木の持ち株:20%。残り40%は亡くなった桂野の父親が保有。

芦立の友人が引きこもり息子のために、週に何度か食事を作りに行っている。

しかし、今日はその息子が玄関の鍵を開けてくれなかったと、芦立にメールが入ります。

一方、火石の義理の姉・弥生はキッチンカーで開業する決意をしたものの、女性起業家に50万円振り込んでから、音信不通になってしまいます。

火石がそのことを芦立に話すと、芦立はピンときて、火石に「その女は前科がある詐欺師」と説明します。

火石は青ざめ、弥生と警察に行く決意をします。

加賀刑務所宛に「桜栄土木は加賀刑務所の協力企業だがブラックで、受刑者をこれ以上受け入れたら、彼等に死人が出る」という告発が届きます。

総務課長の芦立、そして就労支援室を所管とする火石が、この件を担当することに。

火石と芦立は共栄土木を訪れます。

社長の栗本が対応してくれ、彼は非常に人当たりは良かったです。

栗本は香取を呼び、彼自身は外に出ます。

火石達は香取と面談するものの、香取は迷惑そうでした。

そんな香取は、外を睨みつけます。

外には桂野がいて、鉄パイプを持ち、社員を怒鳴り飛ばしていました。

身分を明かした火石達にも、桂野は挑戦的です。

芦立はパワハラしているのが桂野だと考え、夜も遅くなったので、火石とは解散します。

芦立は一人で、もう一人の桜栄土木の元受刑者・国分を訪ねます。

国分は現場で負傷して、自宅療養しているのでした。

芦立が国分の自宅を訪ねると、「じゃあな」と男の声がしたので、慌てて隠れます。

声の主は、桂野でした。

芦立は桂野が保身のために、国分を脅して何かを口止めしたと解釈します。

翌日。

芦立は事のあらましを火石に説明します。

そして火石はネット掲示板にあった「O土木のKは最低だった」という文言を芦立に紹介します。

O=桜栄土木、K=桂野。

さらに、内海という元受刑者は桜栄土木を辞めて群馬の会社に転職したものの、火事で死亡した事実が判明します。

第二の内海を出さないため、火石と芦立は国分から事情を聞くことにします。

そして火石は、義理の姉・弥生が警察に被害届を出すよう説得中だと芦立に説明するのですが――。

果たして、パワハラの真犯人は?

火石は家族を救えるのでしょうか?

第五話チンコロのネタバレ考察

火石と芦立は国分に内海の死をぶつけ、真実を聞き出します。

そして二人は、桂野との直接対決に臨みます。

火石は桂野に「告発文を出したのは、あなただ」「我々の前で威圧的だったのは故意にやっていた」とぶつけます。

火石は桂野が手首に巻いていた数珠が内海のためであり、受刑者を雇いたくない理由は、第二の内海を出したくないからだ、と真相を突きつけます。

桂野は事実を認め、話しだします。

桂野「社員をイジめていたのは、社長の栗本」

桂野「内海は栗本のイジメが原因で精神薬を服用し、それで体が動きづらくなり、火災で死亡してしまった」

桂野「更生した人間を死に追いやらないためには、共栄土木を加賀刑務所の協力事業所から削除するしかない」

桂野は純粋に国分を心配して、彼の自宅にまで行っていたのです。

ネット掲示板のKは、栗本のKだったのです。

栗本は桜栄土木を立て直した英雄なので、桂野でさえ、口だしできません。

そこで火石は株の持ち分を説明し、桂野は父親から株を相続しているので、持ち株比率で栗本を追放できると知恵を授けます。

桂野は、栗本を社長から追放します。

しかし彼は株を持ち出さず、誠意で押しました。

栗本には良心が残っており、社長の座を桂野に譲ったのです。

そして、芦立の息子は引きこもりから脱出する嬉しい兆候が。

しかし。

火石の姪が母親である弥生に刺され、重症で病院に搬送されてしまいます。

病院に駆け付けた火石と芦立。

火石は病院で、こう名乗ります。

火石「火石大輔です。姪の名前は、木花司です」

司は一命をとりとめますが、顔に傷を負ってしまいます。

そして弥生は覚醒剤欲しさに暴走してビルから転落して死亡しました。

看守の流儀をご覧になった方は分かると思いますが、主人公が違っているのです。

看守の信念⇒主人公は火石大輔⇒その姪が木花司⇐木花司は伯父の火石大輔の養子に⇒火石司

看守の流儀⇒主人公は火石司⇒プライベートでは、恩義がある伯父の大輔の面倒をみている

「火石」ダブルミーニング傷と名前に隠された意味(ネタバレ)

看守の信念は、看守の流儀の読者を念頭に置いたミステリーです。

全編が叙述トリックですが、看守の流儀を読んでいないと、ピンときません。

ここでは、本編を貫くトリックをご説明します。

看守の流儀と看守の信念はスターウォーズ文法

映画スターウォーズは、9つのエピソードで校正されています。

しかし、時系列は上映された順番ではありません。

スターウオーズは、EP4~6⇒EP1~3⇒EP7~9で上映されました。

つまり「現在」⇒「過去」⇒「未来」の順番で上映されています。

これを仮に「スターウォーズ文法」と呼ぶならば、本作も同じことがいえます。

発表は、看守の流儀⇒看守の信念ですが、時系列は逆なのです。

それが分からずの読むので、最後のネタばらしまで騙されてしまいます。

ペンネーム「塚崎華」の正体

火石大輔の姪が名乗る、ペンネームの「塚崎華(ツカサキ ハナ)」は、本名である「木花司(キハナ ツカサ)」をいじった名前なのでした。

火石の傷と名前が出てこない意味

前作では火石司が女性であることを隠すために使われた顔の傷と名前が、最後の最後しか、出てきません。

これは当然で、前作と本作の主人公が異なっているからです。

作者の城山真一先生の紹介

看守の信念を書かれた、城山真一先生をご紹介します。

1972年生まれです。

石川県七尾市のご出身で、金沢市に在住しておられます。

学歴は、下記のとおりです。

・石川県立七尾高等学校
・金沢大学法学部卒業

第14回『このミステリーがすごい!』大賞を「ブラック・ヴィーナス 投資の女神」で受賞されました。

城山真一の小説

城山真一の小説




石川県にお住まいなので、舞台が石川県です。

なお、加賀刑務所は架空で、実在しません。

看守の流儀の続編

看守の流儀は、こちらの記事をご覧ください。

「看守の流儀」ネタバレ考察「火石の傷解説」このミス大賞!続編紹介

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