「せっかく公務員試験に受かったのに、公務員を辞めるのはもったいない!」
と親や周囲から言われ、公務員を辞める決断が揺らぐ同僚達がいました。
私自身は2021年2月から適応障害で休職していたこともあったのか、同年6月に「公務員を辞める」ことを決めた際、家族や周囲から反対されることはありませんでした。
市役所や新人研修で友人になった公務員の中には、目的があって「公務員を辞める」と決意したのに、周囲からの猛反発に合ったケースが多いです。
今回の記事では、「公務員を辞める」と決めた人の辞めたタイミングや辞める理由を紹介します。
また「働き方改革」が叫ばれるなか、「公務員を辞める」ことがもったいないのか?
さらに「公務員を辞めて後悔はないのか?」について、私の実体験や同僚達のインタビューをお伝えします。
公務員を辞める人のタイミング
「公務員を辞めるタイミング」は、人それぞれです。
前回ご紹介した記事では、「退職金」「ボーナス」「有給休暇」を公務員を辞めるタイミングとして、ご紹介しました。
こうした理由は、「役所向け」の公務員を辞める理由です。
大切なのは、人生の再構築を狙った「公務員を辞める」という選択です。
この選択について、ご紹介します。
リカレント教育
リカレント教育とは、学校を卒業した後に「就労」と「教育」を繰り返すことです。
つまり、「社会人の学び直し」です。
「リカレント教育」はスウェーデンの経済学者・レーンが提唱しました。
そして1970年代に、経済協力開発機構(OECD)が取り上げたことで有名になりました。
「社会人になってからの学び直しって、効率が悪い人生じゃない?」
と思われる方もいるでしょう。
ただ実際には、義務教育⇒高校⇒大学と進学する際に「本当に自分が学びたいこと」や「現代のビジネスシーンに合った学問領域」を選択することは、非常に難しいのが現状です。
この記事を書いている2021年8月時点では、公務員を辞めた同僚の何人かは「プログラミング学習」をリカレント教育=「学び直し」を行っています。
一口に「プラグミング学習」と言っても、学習方法は様々です。
役所で働きながら、独学で勉強をした同僚。
役所で働きながら、通信教育やオンラインスクルールで勉強をした同僚。
また、未経験ながらIT企業に転職して1からプラグミングを勉強している同僚もいます。
私自身はハローワークや職業訓練校の人達に教えてもらい、「電気工事士」が市場でブルーオーシャンであることを知りました。
私はちょうど、役所の人間関係=役所内でのイジメで、職場復帰をあきらめている時期でした。
そこでハローワークの職員に相談し、職業訓練校を紹介してもらいました。
アポイントメントをとって職業訓練校に行き、「施設保全科」の教員とお話する機会に恵まれました。
教員から「電気工事士を初めとする『モノ造り』の資格を取得すれば、就職はブルーオーシャンである」と説明を受け、納得しました。
独学で筆記は受かっても、実技の合格は有り得ません。
無駄な時間と無駄な情報に振り回されないために、スクールを大いに活用しましょう。
職業訓練学校に入学するには「無職」が条件です。
民間企業なら一定の条件を満たせば、失業保険が支給されます。
しかし公務員は、失業保険が給付されません。
この点をハローワークの職員について質問すると、こんな答えが返ってきました。
「公務員という職業は退職を前提としていません」
えぇ……。
日本経済新聞社の調べでは、20代の国家公務員総合職(旧キャリア組)の退職者数が2019年度に87人に上ったとのことです。
これは6年前と比較して6倍を超える数字です。
当時の「河野太郎」国家公務員制度担当相は、自身のブログで「危機に直面する霞が関」とアラートを鳴らすほどです。
私が勤めている市役所では、2021年度8月時点において、私が把握しているだけで、社会人枠で採用された新卒が1人辞めました。
また、20代の女性職員が人間関係の悩みから休職していたものの、そのまま退職しました。
私が勤務していた市役所の一般行政職の人数は、条例で約350人です。
人事課の同僚と話した際、こう言われて震えあがりました。
「一般行政職の1割が、主にメンタルを理由に休職しています。彼等は常に退職者予備軍です」
分かっているなら、ブラックな職場環境を是正した方がいいと思うのですが……。
役所が職場環境を是正できない原因は、複数あります。
私が勤務していた市役所で最も大きいと感じたのは、
「ブラックな職場環境で出世した人間達に全ての決定権があり、そもそも是正する気がない」
でした。
話を元に戻しますが、リカレント教育を受けるに当たって、失業保険が出ない公務員は苦戦します。
専門学校、職業訓練学校、大学院に進学するにあたり、相当の出費は覚悟する必要があります。
転職
公務員の転職事情は、公務員を辞めた人の数だけ存在します。
今回はその代表をご紹介します。
役所が嫌で公務員を辞めた
「人間関係が苦しい」
「イジメにあった」
「スキルを活かせない」
「スキルが身に付かない」
「ルーチンワークで面白くない」
「仕事をしてもしなくても給料が一緒」
などなど。
私が知る範囲でも、様々な理由で公務員を辞めた人がいます。
公務員を辞めても、収入の確保は必要です。
公務員を辞めた同僚の中には、転職サイトや転職エージェントを使って、次の職場を見つけた人がたくさんいました。
自分がやりたい事をやるために公務員を辞めた
そもそも「自分はコレがやりたい!」と思っていながら、親から「給料と身分が安定している公務員になれ」と言われて、不承不承、公務員になった人達が大勢います。
そういう同僚はいざ公務員になって「何かが違う」と悩み、メンタルで休職し、結果、公務員を辞めます。
人生は1度しかありません。
「周囲から、こう言われたから」ではなく、「本当に自分がやりたい事」があるのなら、迷わずに、その道を進むことをお薦めします。
生きていても、「自分は一体、何がやりたいんだろう?」と、本当に自分がやりたい事を見つけられないままの人が大勢いますから。
やりたい事が見つかって公務員を辞めた
公務員を辞める際は、「人間関係」などの「内向き」な理由であっても、転職サイトや転職エージェントを利用するうちに、「自分のやりたい事が見つかった!」という同僚達は多いです。
また公務員は異動が多いので、新しい部署での仕事を通して、「自分がやりたい事」を見つけて公務員を辞めた同僚も複数います。
ここで大事なことは「自分がやりたい事」=「生活費を確保できるか」です。
霞を食って生活はできません。
「自分のやりたい事」で実際に生活できるのか、精査は必要です。
人間関係からの避難
これは役所、公務員に限ったことではありませんが。
学校や職場でイジメを受けているなら、絶対にその学校・会社・役所に行くのは止めましょう。
気付いていても、気付かないフリをしているケースもあります。
イジメで自分を守れるのは、自分だけです。
イジメを受けたら、悲鳴を上げましょう、手遅れになる前に。
では私のように、公務員=社会人でイジメを受けたら?
勤め人は、休職か退職を選ぶべきです、生きていなければ収入を得られないので。
自分の心と体の健康を最優先にしましょう。
公務員を辞めた人で、先行きが決まっていなくても、イジメから身を守るために休職や辞めた人はいます。
私はイジメが原因で適応障害と診断されて、2度の休職を経験しました。
2度目は長期に渡り、そのまま退職しました。
結果的には、引継ぎをせずに済んだので、その面では楽です。
公務員を辞める人の理由
公務員を辞める人で最近、私自身が多いと感じているのは……
「起業したいから」
これが全国的に増えていると思います。
役所で、内部ベンチャーが可能な所は聞いたことがありません。
起業する方の一定数は、AI事業に取り組むようです。
穴場となる産業は「キメラ」です。
変わる報道番組「アベマプライム」で特集が組まれたほどです。
【キメラ】ヒトの尊厳が低下?サルも苦悩する?生命科学者「感覚だけで議論すべきじゃない」キメラ研究はどこまで許される?生命倫理を考える【iPS細胞】【クローン】【ひろゆき】|#アベプラ《アベマで放送中》
ABEMAの公式サイトはこちらから
「公務員を辞める」のはもったいないのか?
「公務員を辞める」と宣言すると「もったいないと」周囲の人に言われます。
本当でしょうか?
その人たちの言い分は大きく2つに分けられます。
「公務員は給与が安定している」の嘘
国家公務員の給与は、民間企業の給与を参考に法律で決められます。
地方公務員の給与は、国家公務員に準拠します。
国家公務員の給与を具体的に決める機関は人事院です。
人事院勧告により、国家・地方公務員の給与は決められます。
公務員の努力や能力によって給与が決められるわけではありません。
時事通信によると、人事院勧告で公務員の夏のボーナスは下がります。
公務員、ボーナス減の公算 コロナ影響で2年連続―人事院
日本は少子化と不景気で税収は落ち込んでいます。
そうなると公務員の給与は下がって当たり前です。
私は13年間公務員をやっていて、給与が大きく上がった経験がありません。
人事院勧告で減った給与が、元に戻った経験ならあります。
公務員を目指す人で、お金持ちを夢見る人はいないでしょう。
また、お金持ちにはなれません。
例えば、地方公務員の給与体系は条例で細かく決まっているからです。
給与をあげるには、階級を上げるしかありません。
公務員の方ならご理解いただけると思いますが、公務員の階級は実力や実績と必ず連動するとは限りません。
実際に私は係長に上がる際、所属課長が部長を説得し、私の推薦文を部長が書いてくれました。
すると、それまで係長試験に3回も落ちていたのに、アッサリと昇任できました。
良くも悪くも、公務員の世界では、実力ではなく「上司への忠誠」と「年功序列」がつきまといます。
そして役所という組織は、自浄作用がほぼ期待できません。
自分で自分達をクリーンにしようとしまいと、給与は同じだからです。
役人の本音は「新しい仕事=無駄な仕事を増やすな」です。
ですから、自分達を改革しようとはしません。
私も問題意識はありましたが、役所という壁は超えるのに高過ぎました。
話を元に戻します。
公務員の給与は実体験として、右肩下がりです。
税収が下がり続けているので、当たり前です。
「公務員はリストラされない」の嘘
故・橋本龍太郎氏が行政改革担当大臣に就任する際、以下のように言っていました。
「公務員の生首は、はねない」
「?」と思われた方は、多いのではないでしょうか。
結論からいうと、公務員はリストラできます。
国家・地方公務員には、「分限免職」という制度があります。
分限免職できるのは、以下の点です。
・勤務実績が良くない場合
・心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
・その他その官職(職)に必要な適格性を欠く場合
さらに、こう明記されています。
「その職員自身に責任があるかどうかは関係がない」。
つまり職員側に非が無くても、免職できるのです。
もう1つ、分限免職の絶望的な明記事項を、ご紹介します。
官制(職制)若しくは定員(定数)の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合。
解説します。
役所Aの定員は200名⇒条例改正⇒役所Aの定員は100名⇒100名は分限免職できる。
懲罰の免職と違って、分限免職は退職金が出るという点で、まだマシでしょうか……。
「分限免職は抜かずの宝刀じゃないの?」と思った方々。
いいえ、大阪市で2015年に、2人が分限免職されています。
「能力不足」理由に職員2人を分限免職 大阪市人事評価 橋下氏肝いり職員基本条例初適用
すでに分限免職が適用されている以上、「公務員は安定している」は嘘です。
「公務員を辞める」後悔は?
私は退職して1ヶ月も経っていないので、何とも言えませんが。
ただ、公務員を辞めて、ホッとしています。
・イジメにあわずに済む
・副職が一切許されない職場とサヨナラ
・人生100年時代を生き抜くスキルを手に入れられる
この3点において、私は公務員を辞めて良かったと思っています。
公務員を辞めた同僚達と話していても、表情がイキイキとしています。
公務員を辞めて上京して専門学校を経て、憧れのアニメ業界に就職できた同僚もいます。
とにかく公務員を辞めた同僚達は、「人間関係から解放された!」と口々に言っています。
終わりに
公務員は、悪い面ばかりではありません。
・終身雇用が根強い。
(組織が硬直化している)
・年功序列型の賃金体系
(能力と結果で給与が上がらない)
・スキルが無くても、仕事ができる。
決裁書類を作るだけ。
(スキルが身に付かない。
民間企業への転職で、ツブシが効かない)
デメリットもありますが、呑気に仕事をしたい方には向いているかもしれません。
ただ、分限免職があり、給与は下がっていく可能性が高いです。
入庁前に、民間企業で活かせる資格や経験を得たうえで、公共性が高い仕事をしたい方には向いていると言えるでしょう。
現在、公務員として働いているのなら、転職や定年に備えてスキルや資格を身に付けるために勉強を始めた方がいいでしょう。
役に立たない「趣味」でしかない「民間資格」はお薦めしません。
また、せっかく資格を取得するなら「公務員を続ける」という選択肢を選んでも「活きる」資格が好ましいです。
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公務員であれば税務や用地の知識は必至ですし、民間企業でも「宅建士」の資格は重宝される傾向が強いです。
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私が勤務していた市役所では、役所独自の会計システムから「企業会計」に全て入れ替える動きがあります。
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父は消防を定年後、就職で大苦戦しました。
定年を迎えてからでは遅いので、今のうちから無料体験があるスクールで資格やスキルを取得して定年や転職に備えるべきです。
そうした保険がある方が、安心して公務に打ち込めます。
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