「ケアマネジャーは10年後消える職業だ!」
そんな事を言われて、10年以上が経ちました。
「ケアマネジャーの資格は国家資格化すべきだ!」
”ケアマネジャーの国家資格化”議論もまた、10年以上繰り返されています。
「ケアマネジャーの処遇改善はどうなってるんだ! 職能団体はどうなっているんだ!」
特に処遇改善も無く、職能団体も結果を出しているとは言い難い年月も、等しく経過しました。
この記事は、これからケアマネジャーを目指す方にとって羅針盤になります。
また、現役ケアマネジャーにとっても有益な記事です。
ただし、厳しいことを書きます。
特に「介護福祉士」から「ケアマネジャー」になった方には「耳に痛い記事」ですが、生き残って賃金を上げたいのならば、最後までご覧ください。
ケアマネジャー不要論・廃止論とは
ケアマネジャーは、高齢者を支援する「介護保険」の利用において「監督」です。
「介護保険」のサービスを「直接提供」するスタッフは、多岐に渡ります。
例えば、以下のようなスタッフが上げられます。
・訪問ヘルパー
・訪問看護師
・住宅改修スタッフ
・訪問入浴サービス
・デイケア職員(リハビリ職員)
・デイサービス職員
さらに最近は「在宅看取り」を国が進めているので、往診医も高齢者支援を行っています。
これらの専門職が、バラバラにサービスを提供したら、どうなるのでしょうか?
・ディサービスの迎えに行ったら、高齢者が訪問入浴中
・住宅改修のためにスタッフが行ったら、ディケアに行っていて不在
などなど、高齢者支援がチグハグになり、介護保険が機能しません。
介護保険が機能する=高齢者の援助が円滑に回るためには、援助計画=ケアプランを作成する人が必要です。
その「ケアプラン」を作成するのが、ケアマネジャーです。
「モニタリング」といって、ケアサービスが上手く機能しているのかを「確認」するのも、ケアマネジャーです。
そんな「介護保険の監督」である「ケアマネジャー廃止・不要論」は10年前から今日まで、止まること知りません。
なぜ「ケアマネジャー廃止・不要論」が沸き起こるのでしょうか?
AI(人工知能)はケアマネジャーを駆逐するか
最近の「ケアマネジャー廃止・不要論者」は、下記を主張します。
・AIによるマイケアプランの複数提示
・生活圏域のサービス空き状況のデータベース化
(予約システム)
上記は理論上、現在でも可能です。
ですが、絵に描いた餅です。
「無駄なケアプランやサービスのチェックをAIが行える!」と主張します。
無理です。
私は社会福祉士であり、ケアマネジャーの資格を持っています。
MSW(医療ソーシャルワーカー)を5年間実践し、高齢者支援を行ってきました。
福祉援助の計画を作成するには、以下が不可欠です。
・高齢者の言い分を聞く。
・高齢者のニーズを満たす。
・高齢者の自立を促す
さらに、介護が必要な高齢者と家族との橋渡しも行います。
・家族はどこまで介護できるか?
・家族にどこまで介護してもらわないといけないのか?
・家族へ介護を教える
・家族へ医療行為を教える
などなど。
これらの支援は言葉だけではなく、相手の顔色や行動を見ながら、慎重に決めていきます。
人間は嘘をつく生物だからです。
・高齢者「もっと入院させてほしい」⇒家族に迷惑をかけたくない
・家族「もっと入院させてほしい」⇒親の面倒をみたくない
極めつけが、以下だったりします。
家族「介護保険を利用する金銭的余裕がない」。
そう言う家族ほど、病院に高価な車で来院し、華美な服装でした。
介護は綺麗事でも無ければ、当事者達が本音を言っているとも限りません。
AIは相手の感情や仕草から、本音を判断することはできません。
高齢者福祉は「お金を出す」か「自分が汗を流す」かの二者択一です。
高齢者の住居確保で、空き家を利用するのはいい考えです。
ただし。
・その「空き家」は「バリアフリー」ですか?
・筋力が落ちるので「バリアフリー過ぎる」空き家は駄目
「空き家」がその高齢者の住居として適しているかどうか、人間の目で見ないと判断できません。
また「空き家」に住んだからといって、介護保険が終わったわけではありません。
「空き家」という「住居」を確保してから、介護保険の本格的な調整が始まるのです。
ケアマネジャーのなり手は減少している
2018年以降、ケアマネジャーのなり手は減少しています。
この明確な理由の1つが「ケアマネジャーの受験資格の厳格化」と言われています。
ですがこれは、ケアマネジャーの受験数の減少でしかありません。
ケアマネジャーのなり手が減少している原因を、福祉専門職の私とケアマネジャー達に聞いてみたところ、以下の2点でした。
①事業所のサービスを利用するよう上司に強制される。
②家族の苦情がつらい
①は、併設しているディサービスなど、自社サービスの利用を上司から強制されることです。
②は「親に痣ができた!」「褥瘡ができた!」など。
①について
・自社サービスの利用は法律で一定の制限があります。
・自社サービスが自信が持てない事業所なら、さっさと転職しましょう。
②について
・支援したスタッフに聞き取りを行いましょう。
・支援に瑕疵が無ければ、キッパリと言いましょう。
・「褥瘡=床ずれ」は”人間なら誰でもできる”という「事実」に言及しましょう。
・生きていれば、痣の1つや2つはできます。
・「ケアマネは交代できます」とキッパリ言いましょう。
ケアマネジャーが不可欠な理由
高齢者本人と家族の間に立つケアマネジャーは苦しい時もありますが、「家族支援」もまた大切です。
「生活保護CW」も「MSW」も経験した私ですが、家族を丸ごと支援しました。
また昨今は、あらゆる福祉が「地域ぐるみ」の支援を求められています。
1人の高齢者の支援に、多くのスタッフが関わります。
福祉職も医療職もいます。
ケアマネジャーは援助職を調整し、ケアプランを作成します。
専門職と家族の間で介護保険の調整を行えるのは、ケアマネジャーだけです。
また国の施策で、入院病床は減少しています。
つまり、医療依存度が高い高齢者が在宅生活を余儀なくされています。
さらに、国は在宅看取りを推し進めています。
医療職と福祉職の間に立てるのも、ケアマネジャーしかいません。
安心してケアマネジャーになろう「試験合格」
高齢化に多死社会、そして「孤独死」が増加する昨今、ケアマネジャーの需要は増加しています。
ケアマネジャーの資格を取って生活費を稼げないのは、想像しづらいです。
安心してケアマネジャーになりましょう。
そのためには、ケアマネジャーの試験に合格しなければなりません。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の試験とは?
ケアマネジャーの受験資格が、第21回(2018年実施)試験から変更になりました。
何が変わったかといえば、受験資格が変更になっています。
ザックリ説明すると、下記です。
「現場の介護だけ」は、受験資格と認めません。
ただし「介護福祉士」の国家資格を持っている人は引き続き、5年間、法で定められた事業所で従事していれば、ケアマネジャーの受験資格を得られます。
ケアマネジャー合格率
第23回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況
直近の試験は合格率が17%代と厳しい門です。
過去の合格率は以下のとおりです。
ケアマネジャー試験に一発合格!
ご紹介したデータからも、ケアマネジャーの試験合格が厳しいことが分かります。
独学で自信が無ければ、教材に頼りましょう。
介護福祉士からケアマネジャーになった人は他資格が必須
介護福祉士からケアマネジャーになった方は、非常に苦労されています。
介護福祉士は相談援助の経験が無い
介護福祉士の国家資格でケアマネジャー試験の資格は得られますが、相談援助を体系的に学んでいないと、仕事になりません。
社会福祉士の資格を取りましょう。
また介護福祉士からケアマネジャーを目指している方も、社会福祉士の資格取得を視野に入れてください。
合格率も合格後の実務にも、社会福祉士の資格は活きます。
一日たったの30分、聴き流すだけです。
求められるリハビリの知識
社会福祉士にせよ介護福祉士にせよ、今は単独の福祉系資格だけでは、現場が務まらなくなってきました。
得に、リハビリの勉強はマストです。
オンライン学習が可能で、介護リハビリセラピスト認定資格が授与されます。
また、今注目の「温活」の資格を取得してしまいましょう。
たった2日のオンライン授業で、試験無しで一生モノの資格がゲットできます。
最後に
ケアマネジャー廃止・不要論を唱える人は、10年前からいます。
現役のケアマネジャーでもいますが、引き続き仕事をしているのが現状です。
それだけ、ケアマネジャーの仕事は「やりがい」と「公共性が高い」仕事です。
またケアマネジャーの資格を取得すれば、転職でワンランク上の給与も手に入れられます。
福祉の仕事を行うなら、国家資格である社会福祉士や介護福祉士は必ず取得しましょう。
実務に役立つ知識と、高い給与が望めます。
その上で、社会貢献度が高く、これからが期待されるケアマネジャーの資格を取ってバリバリ働きましょう(^^♪
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