「福祉(ふくし)」。
何だか漢字も難しいし、テレビで見たり新聞で読んだり、学校の先生やお父さんお母さんが言っているけど……。
そもそも「福祉(ふくし)」って何なの!?
「福祉(福祉)って何ですか?」と困っている方に、分かりやすく説明します。
「学校で『福祉(ふくし)』の宿題が出たけど、よく分からない……」
「生徒に福祉の宿題を出さないといけないけど、そもそも『福祉』が何なのか、よく分かってないんだよねぇ……」
「子どもから『福祉って何?』と質問されたけど、上手く説明できない……」
そんな「『福祉』って何?」という「お悩み」を解決しますね!
福祉とはなにか?わかりやすく説明
「福祉(ふくし)」とは、「困っている人」に「幸せ」になってもらうことです。
「福」という漢字は、「幸せ」を意味します。
「祉」といいう漢字も、「幸せ」を意味します。
英語で「福祉」は「welfare(ウェルフェア)」と書きます。
突然の英語で「難しい」? 大丈夫、説明しますね♪
「welfare(ウェルフェア)」といきなり見たり聞いたりしても「何それ?」ですよね?
なので、「welfare(ウェルフェア)」を分解しましょう♪
「well=いい、良い、素晴らしい」
「fare=生きる、人生、生き方」
つまり「welfare(ウェルフェア)」は「良い人生」「素晴らしい生き方」という意味です。
「困っている人」を助けて(専門用語で「援助」といいます)、「良い人生」「素晴らしい生き方」を送ってもらうことが「福祉(ふくし)」です。
では「困っている人達」って誰でしょうか?
「良い人生」「素晴らしい生き方」を送ってもらうことって一体何でしょうか?
まず、「困っている人」の具体例を説明しますね。
高齢者とは
日本では「高齢者」を「65歳以上の人」と決めています。
難しいことを言うと「国連の世界保健機関(WHO)が、『高齢者とは65歳以上の人』と定義している」と言います。
「国連って何?」「世界保健機関(WHO)って何?」
難しいですよね?
簡単に言うと、
「国連=国際連合」は「世界の平和を守ります」です。
「世界保健機関(WHO)」は「人間の健康を守ります」です。
ところで「え、おじいちゃんは65歳以上だけど、元気だよ? 何を助けるの?」
と「不思議だぁ」と思われた方、いらっしゃいますよね?
「高齢者」と言っても、元気な人もいれば、元気では無い人もいます。
元気な高齢者の方は、何もお手伝いしなくていいです。
むしろ、元気な高齢者の方のお手伝いをすると「QOL」が下がってしまいます。
「QOL」とは、Quality Of Life(クオリティ オブ ライフ)です。
簡単にいうと「QOLは、自分らしい生活・自分らしい人生」です。
元気な高齢者のお手伝いをすると、なぜ「QOL」が下がってしまうのか?
〇例
・買い物の荷物を代わりに持ってしまう⇒筋肉が落ちる
・おんぶして二階にあがる⇒やっぱり筋肉が落ちて、自分で階段を登れなくなる。
・代わりに計算をしてあげる⇒考える力が落ちてしまう
・代わりに日記をつけてあげる⇒記憶する力が落ちる
このように、高齢者の人が自分でできることは絶対にお手伝いをしないように心がけましょう。
では、お手伝いが必要な「元気が無い高齢者」って、どんな人達なのでしょうか?
体が不自由
「体が不自由」とは、具体的にどんな状態でしょうか?
例をあげてみますね(^^♪
①一人で歩けない
②一人でお風呂に入れない
などがあります。
①の場合のお手伝いは、「肩をかしてあげる」があります。
重い「歩けない」だと「車椅子」を使ってもらうことになります。
「車椅子」のことを難しい言葉で「福祉用具」と言います。
つまり「体が不自由」とは「1人で行動するのが難しい」です。
小学校で考えてみましょう。
・1人で登校できない
・1人でラジオ体操ができない
・1人で宿題ができない
・1人でお風呂に入れない
・1人で遠足に行けな い
・1人で修学旅行に行けない
・1人でベッドから起きられない
・1人で教室へ移動できない
・1人で実験ができない
・1人で絵が描けない
・1人で習字が書けない
などなど、です。
「1人でできない」なので、誰かが協力してあげれば、できますよね(^^♪
この「協力」を専門用語で「福祉援助」といいます。
また、協力してあげる人がいなくても、「福祉用具」があれば1人で行えることもあります。
例えば「教室へ移動できない」なら「車椅子」を使えば、1人で移動できます。
「元気が無い高齢者」は「可哀想な人」ではなく、「お手伝いする人」や「福祉用具」があれば「1人でできる」=「元気がある高齢者」になりますよね(^^♪
考えることが不自由
「認知症(にんちしょう)」という言葉を聞いたことがありませんか?
「認知症」とは分かりやすく言えば、「覚えられない」「考えられない」です。
小学校を例に説明しましょう。
・漢字を覚えられない
・九九を覚えられない、言えない
・跳び箱の場所を忘れた
・体育館ってどこにあった?
・この学校の名前が思い出せない
などなど、です。
ところで「認知症」ですが、高齢者だけの「困った」でしょうか?
私は「昨夜、何を食べましたか?」と質問されて、メニューを思い出せません(;^ω^)
「認知症」と言っても、軽い重いがあります。
難しい話になってきたので、以下のことだけはしっかり覚えておいてください。
「認知症になっても、人間は人間。だって生きているんだから」
心が不自由
心が不自由って…‥何? ですよね?(;^ω^)
この「心が不自由」が「福祉」の中で、最も難しい分野です。
「心が不自由」の病名には、次のようなものがあります。
・うつ病
・統合失調症
・人格障害
難しいですよね(;^ω^)
この記事を書いている私はお医者者さんから「適応障害」「うつ病」と診断されました。
「適応障害」「うつ病」と診断された私ですが、とっっっっっっても元気です!(≧▽≦)
「心が不自由」では、以下のことだけでも覚えましょう。
「心が不自由だからって、かわいそうな人じゃないんだ」
「心が不自由な人が”助けてください”と言ったら、何かお手伝いしょう」
この2つができるようになってきたら、上級編として、
「心が不自由な人は何に困っているんだろう?」
を想像してみてくださいね♪
なお、「お手伝い」で無理は絶対にダメです!
「福祉援助」はマイペースで行わないと、自分が「元気が無い人」になってしまいます!
障害者とは
「障害者(しょうがいしゃ)」と言っても、3種類あります。
肢体不自由
「五体不満足」という本を知っていますか?
「五体不満足」という本を書いた「乙武 洋匡」さんは生まれつき、両手と両脚がありません。
「肢体不自由」とは「1人で行動するのが難しい」です。
でも「乙武 洋匡」さんは電動車椅子という「福祉用具」を使って、大活躍しています。
障害者の自虐ネタは笑ってもいいの!?乙武洋匡と考える【障害者とお笑い】|#アベプラ《アベマで放送中》
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「肢体不自由」の障害者も同じく「可哀想な人」と考えないことが大切ですよね(^^♪
知的障害
知的障害とは「読み書きで困る」「他の人とお話できない」「お金の計算が難しい」です。
これをすっごく難しい言葉で「知的障害3領域」といいます(覚えなくていいです)。
お医者さんの中には「DSM-5」と呼ぶ人もいます(覚えなくていいです)。
私の従兄弟が、知的障害です。
従兄弟は「読み書き」はそれ程、不自由はしていません。
けれど「他の人とお話する」「お金の計算」では、とても困っています。
従兄弟のような人の「お手伝い」をする人のなかに「成年後見代理人(せいねんこうけんだいりにん)」という人がいます。
「成年後見代理人(せいねんこうけんだいりにん)」とは、本人に代わって「お金の管理」や「何かを決定する」人です。
弁護士や後で説明する「社会福祉士」が行っていますよ(^^♪
その「困っている人」が障害者かどうかを判断する1つの方法として「障害者手帳」を持っているかどうか、があります。
「障害者手帳」は、お医者さんの診断書をもとに、「障害を持っている」と見なされた人が持つ手帳です。
障害者手帳には、以下の3種類があります。
・身体障害者手帳
・療育手帳(知的障害児・者)
・精神保健福祉手帳
障害者手帳を持つと、お医者さんにかかった料金が免除されたりします。
すごく難しい話ですが、役所や企業には「法定雇用制度」というルールがあります。
「法定雇用制度」とは、「役所や企業は100人働いている人のうち、20人は障害者を雇ってください」というルールです。
ルールなので、守らないと罰金があります(!)
法定雇用制度
国・地方公共団体および特殊法人:2.5%
民間企業:2.2%
教育委員会:2.4%
平成30年4月より「精神障害者」が正式に加わりました。
精神障害
精神障害とは「心が風邪を引いている」状態です。
最近のお医者さんの中には「心のガンだ」と言っている人もいます。
精神障害の具体的な病名は、以下のとおりです。
・うつ病
・アルコール依存症
・睡眠障害
・適応障害
などなど。
お酒は控えめに(そもそも未成年は飲酒禁止です!)。
私は大阪福祉事業財団の救護施設「高槻温心寮」で働いていました。
で、夜勤があったんですね。
で、不眠症になりました……。
それ以来、20代半ばから今までズッと睡眠薬と精神安定剤を主治医から処方されて服用しています。
障害者福祉制度では「自立支援給付」というサービスがあります。
「自立支援給付」とは、お医者さんにかかったり薬局で薬をもらったら、その料金を安くしますよ、というサービスです。
児童とは
「子どもはお父さんとお母さんに育ててもらって幸せなのに、福祉がいるの?」
「保育園」も児童福祉サービスです。
皆様の近所に「助産施設」はありませんか?
助産施設も、児童福祉サービスです。
代表的な児童福祉として、
・障害児
・児童虐待
などなどが挙げられます。
児童福祉を行う施設として、
・児童福祉相談所(児相)
・乳児院
・児童厚生施設
などなどがあります。
なので、保育園の先生も「児童福祉」を行っている人です。
児童福祉では特に、以下を覚えておくと勉強になりますよ♪
「体罰は児童虐待である」
お金がない人とは
「お金が無いなら、必死で働けばいい!」
「どうして借金をするの?」
なるほど。
では、病気や障害でそもそも働けない場合はどうでしょうか?
怠けているわけではなく、病気や障害が原因で働けない人達がいます。
こうした「貧困」を助ける福祉サービスの代表が「生活保護」です。
私が5年間働いていた「救護施設」とは、生活保護を受けている人達が生活する施設です。
生活保護とは、フルパワーを使っても病気や障害で生活できない人を「お手伝い」する福祉サービスです。
福祉の資格とは
「福祉」は障害などで「困っている人」を助けて「幸せに生活してもらう」サービスです。
それはきっと、大変ですよね?
そう「福祉援助」は大変なのです。
そして、専門的な知識が必要です。
そこで国や福祉団体は「福祉の資格」を作りました。
「福祉の資格」は、知識が必要なので「試験」に受かる必要があります。
また「実技試験」といって「実際に介護ができるかな?」とチェックを受けます。
さらに「福祉資格」の中には5年に1度、更新しなければいけない資格もあります。
それでは具体的に、福祉の資格を見ていきましょう。
社会福祉士とは
社会福祉士は「ソーシャルワーカー」とも呼ばれます。
病気や障害を持っている人の相談にのって、困っていることを解決します。
私は福井県立大学を卒業後、瓶井学園の日本メディカル福祉専門学校で「社会福祉士」の受験資格を取得しました。
「社会福祉士」は、相談援助業務です。
ただ、友達同士の恋愛相談とは違います。
「社会福祉士」には福祉援助職として高い職業倫理とスキルが求められます。
介護福祉士とは
昔は、「高齢者の世話をするのは、嫁の仕事」という古い価値観がありました。
ですが、高齢者や障害者の介護には、高いスキルが求められます。
そこで誕生したのが「介護福祉士」です。
「介護福祉士」は、病気や障害のため、お風呂や排泄を1人でできない方のお手伝いをします。
さらに「介護福祉士」は、介護の現場において、資格を持たない人への教育も担います。
「介護福祉士」になるには、筆記試験と実技試験を合格する必要があります。
試験を受けるためには、専門学校や福祉現場での実務経験が必要になってきます。
私は「救護施設での実務3年」で試験を受けるための資格を取得しました。
精神保健福祉士とは
「精神保健福祉士」は、「精神科ソーシャルワーカー(PSW)」と呼ばれます。
「社会福祉士」の「精神障害者バーション」と言ってもいいと思います。
心が苦しい人の相談援助業務を行います。
職場は精神科などの病院が多いです。
「精神保健福祉士」も、試験に合格する必要があります。
私は救護施設での勤務実績で受験資格を得ましたが、スクリニーングと呼ばれる「学校で一定期間、授業を受けなさい」という条件を満たすためには、有給休暇を割かねばならず、また職場のシフトに穴を開けることが心苦しかったので、資格は取得しませんでした……。
市役所の同期や後輩が、福井県立大学・看護福祉学部・社会福祉学科の卒業生でした。
彼女達は4年制で、社会福祉士と介護福祉士2つの受験資格を得られたため、とても羨ましいです……。
ケアマネジャーとは
人生のお手伝いが必要な高齢者の方が、1人います。
この方は、介護も医療も必要です。
そうなると、介護福祉士や看護師など、多くの有資格者達が援助に加わります。
チームには、司令塔が必要です。
サッカーでも野球でもキャプテンっていますよね?
「ケアマネジャー」は、高齢者援助のキャプテン=調整役です。
お家を建てるときの「設計士」です。
ケアマネジャーという「設計士」が作った福祉援助の「図面」を「ケアプラン」といいます。
高齢者の援助はこの「ケアプラン」どおりに行います。
「社会福祉士」「介護福祉士」「精神福祉士」は「国家資格」です。
「ケアマネジャー」は、民間資格です。
民間資格であっても事実上、「ケアプラン」を作成できるのは「ケアマネジャーだけ」と言って差し支えないと思います。
2021年8月現在の日本において、高齢者介護の調整役は「ケアマネジャー」に一任されています。
国家資格に負けず劣らず、高い倫理性と専門性が求められます。
「社会福祉士」「介護福祉士」「精神福祉士」は試験に合格して登録すれば、終わりです。
しかし「ケアマネジャー」として働くには5年に1度、更新の研修をうけなかればなりません。
このことからも、いかに「専門性」が要求されるか……分かりやすいですね(^^♪
福祉のお仕事
福祉のお仕事は、本当に種類が多いです。
・施設の職員
・利用者の自宅に訪問する職員
・介護する職員
・保育する職員
・相談援助を行う職員
・栄養士
・看護師
などなど、幅広いです。
幅広いということは、「人生100年時代」「働き方改革」の昨今、柔軟に働ける可能性が高いのではないでしょうか。
福祉の仕事で共通して気をつけるべきは「個人情報を守る!」です。
どんな職種、どんな職場に行っても、「個人情報を守る!」は徹底しましょうね(^^♪
ボランティアとは
ボランティアとは、自発的に物事に取り組むことです。
福祉の現場で言えば、給料は出ないけれど、施設入所者の洋服を畳んだり……と、本当に種類は様々です。
ボランティアのいい所は、いきなり職場に飛び込むのではなく、就職する前に福祉の現場を知れることでしょう。
またボランティア活動は高い確率で人脈が広がります。
私が施設職員だった頃、施設のお祭りでは「ボランティアスタッフ」は大いに頼りにしていました。
ボランティアであれ福祉の現場で活動する以上、「個人情報を守る!」は徹底しましょうね(^^♪
終わりに
テレビをつければ、「独居老人が~」。
新聞を広げれば「児童虐待が~」。
インタネットに接続すれば「障害者がイキイキと生きるには~」。
過去これほど、「福祉」が注目された時代があったでしょうか?
年月が経つほど、「福祉」がクローズアップされている実感があります。
例えば「体罰」が「児童虐待」に追加されたり。
「福祉」という巨大な事象は、どんどん細分化されています。
つまり福祉職には、より高い専門性が求められています。
そして福祉の働き手は圧倒的に不足しています。
福祉のニュースはこれから沢山出てきますし、外国人の方と接する機会も増えます。
ボランティアや福祉の仕事をする上で、英語は欠かせなくなりました。
英語を勉強すれば福祉だけではなく、世界中へ旅行に行けて、外国の人と友達になれますよ(^^♪
無料でもっと本格的に英語を勉強したいなら、こちらもお薦めです。
「福祉」は今「福祉用具」へのニーズも高まる一方で、高度化し、現場にはより一層の専門性が求められています。
医療と福祉の境目は、曖昧になる一方です。
そして「福祉の国際化」も進んでいます。
これからの時代をつくる人達が福祉の道を選んでくださるよう、この記事がお役に立てれば幸いです(^^♪
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