「ボランティアの授業を行います」と言われた小学生や中学生、高校生。
学生時代ってそもそも「ボランティアって何?」ではありませんでしたか?
生徒に教える教師も「カリキュラムにあるから」だけで、「ボランティアって何?」ではありませんか?
「我が社はボランティアに取り組むから」と上司に言われて、混乱していませんか?
「営利企業なのに、ボランティア!?」と戸惑いを覚えた方、その反応が「常識」です。
”何となく”教育現場で行われている「ボランティア」。
「SDGs」と並んで企業の広告に使われる「ボランティア」。
この記事では3章まで「ボランティア」の”奇麗事”を書き、記事後半でボランティアの本質をお伝えします。
本当に役立つ「ボランティア」が分かります。
ボランティアは「志願者」「有志者」という意味です。
自分ができる範囲のことを、無償で行う行動です。
学校で先生に言われたり、会社で上司に言われたりとキッカケは様々ですが、ボランティアに取り組む機会は増えています。
キッカケが何であれ、ボランティアで「気をつけるべき」点をあげます。
ボランティアに取り組む時は「自分に何ができるか」を自問自答しましょう。
「私には何の資格も経験もない」 と嘆く方が一定数いますが、本当にそうでしょうか?
運転免許証を持っていれば、 物資の輸送で貢献できます。
英語検定2級や準2級レベルであっても、 資格を持っていない人よりは、天災や人災で被害にあった英語圏の人々と専門家の間に入れます。
私は地元の NPO 法人で、発達障害児・者のボランティア経験があります。
発達障害者には、パソコンのワードを使って文字を打つ練習をしていました。
発達障害児の勉強を見ていました。
実体験からハッキリ言えることは、「九九が言える」これだけでボランティアを行うことは可能です。
また、チラシの裏にずっと落書きをしていてもいいので、多動性のある児童に寄り添って隣に座っているだけで立派なボランティアです。
社会福祉士を取るための実習で、障害者の授産施設に行きました。
そこで、重度の知的障害者の女性がいました。
日中の活動で、その女性が私を頼ってくれたことは一度もありませんでした。
ところがある日、その女性が家族に迎えを待っている時、同じ利用者の男性からちょっかいを出されました。
すると、隣に座っていた私に身を寄せてきました。
これはその女性が「困っているから助けて」と合図を出しているのです。
当時はすでに、福祉の知識や実践経験が多少あったため、男性の利用者に一言注意し、女性利用者に笑顔と明るい言葉をかけることができました。
このシーンを振り返る時、 福祉の知識や実践経験がなくても、彼女のためにできることは、いくらでもあると言う結論に至りました。
男性利用者に彼女がちょっかいを出された時「ただそこにいるだけ」で、「どうしていいか分からない重度の知的障害を持つ女性」に頼りにされるのです。
この結論はもちろん、授産施設での日中の活動を通して、女性利用者との人間関係を構築しているというのが前提になります。
学校であれ職場であれ、先生や上司が「ボランティアをする」と言えば逆らえる人はいないでしょう。
そうであれば、ボランティアを行うしかありません。
※ボランティアは本来、自発的に行うものであり、先生に言われて行った行動は「教育」です。
上司に言われておこなった行動は「営業」や「広報」です。
ボランティアを扱った「公式」や「企業ブログ」では、「勇気を持って一歩を」と金太郎飴のように綺麗事が並んでいます。
ボランティアに「勇気」は必要ありません。
障害者施設でボランティアを行うのであれば、利用者に背中を見せないようにしましょう。
私が勤務していた救護施設では、後ろから果物ナイフで刺された職員がいます。
当時の職員の総論は「精神障碍者に背中を見せるのが悪い」でした。
刺された本人も、そう自覚していました。
福祉の現場は「綺麗事」で回っていません。
過酷な福祉の現場でボランティアを行うのであれば、相応の覚悟はしましょう。
除雪ボランティアを行うのであれば、屋根雪やぎっくり腰に気をつけましょう。
銀行でありがちな、店舗周りの清掃を行うのであれば、交通事故に巻き込まれないように注意しましょう。
また、車や歩行者の通行に邪魔にならないようにしましょう。
ボランティアは「奉仕」です。
ボランティアを行う人が「誰かの世話になる」という事態に陥ることだけは、絶対に避けましょう。
ボランティアを始めたら間違っても「~してあげる」という発言は慎みましょう。
ボランティアは「自発性」が欠かせない要素です。
誰もあなたに「ボランティアしてほしい」とは、頼んでいません。
砕けた口調の気軽な人間関係はとてもいいと思いますが、 上から目線は絶対にやめましょう。
ボランティアでは、社会的弱者を支援することが多いです。
そのボランティア活動全てが、個人情報になります。
「感想」程度であれば、 発信してもいいと思います。
詳細な中身については、 外に漏らさないようにしましょう。
間違っても SNS にアップしないでください。
「怒られる」のはまだ良い方で、それ以上のペナルティーが待っている場合があります。
※中身次第ですが、可能ならば「ボランティア保険」には加入しましょう。
※「ボラバイト」では「お小遣い」が発生します。素直に受け取りましょう。
「ボランティアにも責任感を」等、「ボラバイト」で賃金を払う側にも、一定の狙いがあるからです。
学生のボランティアでも社会人のボランティアでも、日常生活では接することがない人達と繋がりが持てます。
福祉施設でボランティアを行えば、介護の最前線で戦っている職員達と人間関係が築けます。
私は「Jリーグ」の「名古屋グランパス」というチームのサポーターです。
グランパスの公式サイトでは、試合運営のボランティアの方々の記事が読めます。
老若男女様々な方が、 グランパスの試合運営を支えてくれています。
こうしたネットワークの中に入ることで、通常生活では得難い人間関係が手に入ります。
人間関係は一生モノの財産です。
お金では買えないので、ボランティアの醍醐味と言えます。
日常生活で「ありがとう」と言われる経験は、少ないのではないのでしょうか?
私が救護施設に勤務していた頃、利用者の洗濯物をたたむボランティアの方が来てくれました。
本当に助かったので、心から「ありがとう」と申し上げました。
雪国・福井に住んでいますが、豪雪で車が立ち往生してしまう時があります。
除雪やドライバーに食料や飲料を配るボランティアをしていた方々が、やはり「ありがとう」の言葉を受け取っていました
名古屋グランパスのボランティアでも、トヨタから出向している小西社長が直々に「ありがとう」を伝えています。
「ありがとう」を言われると、素直に嬉しいものです。
これもまたボランティアの醍醐味です。
京都市では「文化ボランティア」を行っています。
歴史の町・京都において、文化芸術活動をサポートします。
日常生活では会うことのできない芸術家やアートに触れる機会があります。
「文化ボランティア」は文部科学省が正式に推進しています。
活動の場所は主に、美術館や博物館のようです。
無料で入館できるところか、お金を払っても見ることができない舞台裏に触れるチャンスでもあります。
また、意外と知らない自分が暮らす「地域の文化」に気づくチャンスでもあります。
「文化ボランティアの波は、確実にくる」と言えるでしょう。
高校や大学に推薦で進学を希望する場合、ボランティア活動は有利になります。
また、ボランティア活動は履歴書に記入できるので、 就職活動でも有利になります。
いやらしい事のように聞こえますが、 当然の権利ではないでしょうか?
他の人が自分の時間を過ごしてる間、世のため人のため「奉仕」を行っているのですから、どこかで報われる場があってもいいはずです。
「ボランティアのメリット」でインターネットに検索をかけると、「 SNS にボランティア活動をアップできるので”イイネがもらいやすい”」という内容の、正気を疑う記事が散見されます。
SNSで目立ちたいのであれば、歌でも歌いましょう。
先述のとおり、ボランティアは個人情報に触れる機会があります。
守秘義務に違反してしまう可能性があるので、SNSには絶対にアップしないでください。
一口に「ボランティア」と言っても、多様です。
自宅の前を毎朝、無償で清掃することもボランティアです。
代表的な類型を見ていきましょう。
ボランティアへのニーズが最も多い分野です。
高齢者や障害者の方への食事の提供の他、外出支援も含まれます。
先述した「施設での洗濯物たたみ」も立派なボランティアです。
興味はあるけれど、一歩を踏み出せない方は、各施設が毎年行っている「お祭り」から参加してはいかがでしょうか?
児童へのボランティアの代表は、スポーツやレクリエーション活動です。
最近では「不登校」や「引きこもり」児童への「電話対応」もあるようです。
海や山の清掃です。
公民館に勤務していた頃、海岸清掃が仕事でした。
その清掃がキッカケで、市議会員議員とお友達になれました。
防災や防犯です。
児童の登下校を見守るボランティアが代表です。
亡父は保育園でボランティアをしていました。
お住まいの自治体で「祭り」が行われる際、ボランティアを募集していませんか?
名古屋グランパスのボランティアも、このカテゴリーに含まれます。
近年のボランティアとしては、以下があげられます。
・パソコンの設定や操作指導
・路上生活者への支援
・国際ボランティア
日本は震災大国です。
世界の地震の8割が日本で起きます。
阪神淡路大震災のとき、ある自治体がこんなメッセージを出しました。
「一般のボランティアは、もう結構です。医療関係者を求めます」
「命を救う」という崇高なボランティアに身を捧げたいのであれば、相応の資格を取った方が良さそうです。
例えば、被災地の弱者を介護をしたいのであれば、介護福祉士の知識や技術は役に立ちます。
ユーキャンの介護福祉士講座
東日本大震災で、市役所の同僚が派遣されました。
彼に現地での内容を聞くと「1日中、電話相談だった」そうです。
相談援助業務であれば、社会福祉士の出番だったのに……と悔しかった思い出があります。
福祉職に就いていても、被災地(国内だけとは限らない)で支援活動を行えない職場なら、転職を視野に入れてもいいかもしれません。
実際に転職しなくても、無料で登録だけはしておきましょう。
医師や看護師の医療者の方は「国境なき医師団」を目指している方もいます。
無料で登録して、震災復興や国境なき医師団などの海外展開を考えてはいかがでしょうか。
とうきょうナースステーション||看護師の転職支援サービスの無料会員登録
ナースネクスト
ボランティアは「自発性」が出発点ですので、自分の気持ちを大切にしてください。
ボランティア活動が重荷に感じるのであれば、それは「重労働」や「強制労働」になっています。
ボランティアする側もされる側も「笑顔であり続ける」――そんなボランティア活動を行っていきましょう。