「マスコミが取り上げている『ベーシックインカム』って何?」
「『ベーシックインカム』が選挙の争点になると聞いても、そもそも『ベーシックインカム』を知らない」
「お金がもらえるなら、実行すればいいんじゃないの?」
「ベーシックインカム」はまだ実行どころか、議論するための知識に欠けている点があります。
とはいえ、コロナの終息が見えず、 景気と少子化に有効な手立てがない現状では「ベーシックインカム」が最も目に見える有効な施策です。
この記事をご覧になれば「ベーシックインカム」の「メリット」と「デメリット」が分かります。
またどうして「ベーシックインカム推進論者」の間で、物議を醸しているのかも分かります。
ベーシクインカムの意味
ベーシックインカム(Basic income)は、国民全員に最低限の所得を保証する制度です。
景気と雇用が悪化し、 ベーシックインカムが注目を集めています。
ベーシックインカムは「現金」で政府が国民に対して、 最低生活費を支出する制度です。
生活保護と区別するために、 UBI( ユニバーサル・ベーシック・インカム)とも呼ばれています。
すでに野党は「ベーシックインカムを議論すべき」と主張しており、2021年の衆議院選で「公約」に掲げられる可能性が高いです。
ベーシックインカムのメリット
「ベーシックインカム」にはいくつかのメリットがあります。
少子化対策
ベーシックインカムは世帯単位ではなく、個人に支給されます。
単純計算すると、子供が増えた数だけベーシックインカムの収入が増えます。
ただし「最低生活費の保証」である以上、養育費の全てを賄えるとは思えません。
少なくとも現行の「子ども手当」は、続行すべきでしょう。
貧困対策
ベーシックインカム導入で最も効果があるのが「貧困対策」です。
新設された「デジタル庁」は、 インターネットを駆使して貧困層を支援するとの施策を打ち出していますが、現実的には厳しいでしょう。
所持金13円で餓死した親子
2020年2月、大阪府八尾市のアパートで、57歳の母親と24歳の長男が死亡している発見されました。
室内に物色された様子はなく、外傷もないため「餓死」である可能性が高いです。
この事件を「自己責任」などと、「優生思想」の持ち主のように考えることは危険です。
人間は1秒後の未来が分からないので、明日は我が身です。
デジタル庁は、こうしたケースをインターネットで救えると考えているようです。
おそらく「マイナンバー」と紐付けて、貯蓄や「水道光熱費の支払いの停滞」から貧困層をあぶり出すのでしょう。
ではこの事件で、以下のような出来事が起きていたらどうでしょうか?
DVを振るう夫によって、妻は心身を叩きのめされています。
虐待によって、子供も心身を叩きのめされています。
この母子は外に一歩も出られないほどの心神耗弱状態です。
母子に暴力を加えた男は、忽然と姿を消しました。
しかし住民票は移っていません。
そして金にだらしがない男は、 多少は預金がある通帳を天井裏に隠していましたが、そのことを忘れて出て行きました。
このケースをインターネットで追うと、 母子の家庭には充分な蓄えがあると判断されます。
そもそも離婚が成立していないので「母子家庭」であることさえ分かりません。
デジタル庁の取り組みを非難しているわけではありません。
一つの省庁では、困窮対策に限界があるとご説明しています。
ベーシックインカムを導入すれば、 地域性が破壊されて住民同士の交流がなくなった日本でも、 有効な貧困対策になります。
社会保障制度の簡略化
ベーシックインカム導入すれば「生活保護」に代表される「公的扶助」が一元化されます。
また「年金」も無くなります。
ベーシックインカムは間違いなく「行政コストの削減」につながります。
ベーシックインカム「持論」
障害年金を無くすと、直ちに生活が成り立たない人が出てきます。
ですからベーシックインカムに「障害加算」は必要不可欠になります。
しかし「老齢年金」は廃止するので、 高齢者が組織票になっている政党はベーシックインカムを否定するしかありません。
ベーシクインカムの「デメリット」
どのシステムであれ、一長一短があります。
ベーシックインカムのデメリットをご説明します。
金額の設定が困難
ベーシックインカムが本格始動したとして、国民にいくら支出するのかを正確に決めるのは困難です。
実業家と呼ばれる人たちは「7万円の支給があれば、特に地方では生活に困らない」と言っています。
私は福井県の「原発銀座」と呼ばれる街に住んでいますが、商売人が原発に依存して、物価や家賃が高騰しています。
さらに自動車が不可欠なので、購入費や維持費がかさみます。
日本海側は軒並み、四季がはっきりしているため、夏冬と春秋の水道光熱費がまるで違います。
ベーシックインカムが一律に支給された場合、年間を通しての「やりくり」が求められます。
気を付けなければいけないのは、寒い冬に生活費が危機に陥っても「生活保護はもう無い」という点です。
労働意欲の低下
働かなくても最低生活費は保証されるので、無職は確実に増えます。
ベーシックインカム推進論者は導入にあたって「贅沢をしたければ働けば良い」「くだらないアルバイトをする時間を資格取得など有効に使える」と発信しています。
生活保護ケースワーカーの経験から言うと、労働できる人間に最低生活費を与えると、働きません。
貯金もせずに、酒とパチンコに消えていきます。
この事態への対処は、ベーシックインカムの収入を「生かさず殺さず」に設定するしかありません。
「土地柄」にも大きく左右されるため、各自治体の手腕が試されます。
経済競争力の低下
最低生活が保障されているので、国民は労働先を選ぶ事が出来ます。
選ばれなかった企業は潰れるしかありません。
また、ベーシックインカムを持続させるために、法人税を高く設定する必要はあります。
結果、企業の体力を奪うことになり、海外資本との競争で遅れを取る可能性が非常に高いです。
ベーシックインカムの財源は?
ベーシックインカムの予算総額は約100兆円です。
この金額を算出するにあたって「20歳以上は毎月7万円、20歳未満は毎月3万円」と一律給付では無い点に注意が必要です。
この財源を確保するためには、所得税や相続税を引き上げるしかありません。
また、子ども手当や雇用保険は廃止する必要があります。
他の削減案は以下の通りです。
・公共事業費:5兆円
・農林水産事業:1兆円
・中小企業対策費:1兆円
・ 地方自治体の民生費のうち福祉費:6兆円
・生活保護の医療費:1.9兆円
・地方交付税交付金:1 兆円
割と地方に「死ね」 という予算設計です。
私は生活保護費の「現金支給」は無くせばいいと思いますが「現物支給」である「医療給付」と「介護給付」は 弱者が生きていく上で生命線だと考えているので、今の時点で財源の確保は難しいと思います。
「ひろゆき氏」と竹中平蔵氏の違い
ベーシックインカム推進論者で必ず名前が挙がるのが「ひろゆき氏」と「 竹中平蔵氏」です。
この2人が共闘しているかといえば、そうでもなさそうです。
ひろゆき氏のベーシックインカム
ひろゆき氏は「稼げない人への対応」としてベーシックインカムを推進しています。
また最低生活の保障で「転職」のハードルが低くなり、企業・個人双方にとって、 win-win な関係であると主張しています。
一方、年金や医療費など、高齢者には「厳しい施策になる」とも発言しています。
竹中平蔵氏のベーシックインカム
小泉内閣で閣僚だった竹中平蔵氏が「ベーシックインカム」を口にしたことで、議論が始まったので、この点は評価してもいいと思います。
一方、竹中平蔵氏のベーシックインカム論には、反対意見が多いのも事実です。
ある経済学者は、こう主張しています。
「竹中氏の目的は、困窮者の支援などではない。ベーシックインカムを導入することで、公的医療保険を無くし、民間の保険会社を参入させる気だ。アメリカ型の医療保険であり、一部の金持ちを除いて、医療を受けることが困難になる」
この主張が本当かどうかは、竹中氏本人にしか分かりません。
ベーシックインカムについては「アベマプライム」でも度々取り上げられています。
【ベーシックインカム】ひろゆきが一刀両断「前澤さんのはベーシックインカムではない」前澤友作さんの10億の”社会実験”やってみて分かったコトとは?参加する経済学者が解説|#アベプラ《アベマで放送中》
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ベーシックインカムは私達の生活を根底から変化させるので、今後の推移に要注目です。
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